幼稚園でクラスメイトと保護者に病気を説明
幼い頃から病気と向き合い、自らの力でひとつひとつ乗り越えてきたふうかさん。そんな娘をサポートするために、星野さんも試行錯誤した。
「幼稚園に入学するときは、時間をいただいて、クラスメイトとその保護者にふうかの病気や症状を説明しました。
3、4歳の子どもたちが、ふうかの病気をどこまで理解してくれたかは分かりません。ただ、『ふうかちゃんのお手伝いがしたい』と、駆け寄ってくれるクラスメイトが増えたのは嬉しかったですね。
一方で、ふうかに興味を持たない子も、もちろんいました。でも、それが自然ですよね。“病気だから”と特別視するのではなく、1人の人間としてふうかを見てくれていたから、ほかの子どもたちと自然な関係を築けたのかな、と思っています」
9歳の娘がしっかり割り切っている
今年、ふうかさんは9歳になった。Instagramでは、電動車いすを操り、自由に動き回る活発な姿も見せている。成長した娘の姿に、星野さんは何を思うのか。
「町中でふうかを乗せた車椅子を押していると、今でも好奇の目で見られることがあります。ふうかにその視線をどう思うのか聞いてみたところ、『別に、しょうがないよね』と言いきったんですよ。
私は長年人前に出る仕事をしていますが、今も人の視線に怯えてしまう瞬間があります。でも9歳の娘は、しっかり割り切っている。我が子ながら、かっこいいなと思いましたね。
ふうかは病気を通じて、広い視野で世の中を見るようになったのだと思います。だから、こんなに強くなったのかなって。本当のところは彼女にしか分からないけど、ふうかを見ているとそう感じますね」
ふうかの姿は、弱い私を強くしてくれる
自らの病気を受け入れ、“凛”とした姿を見せる娘の存在は、星野さんにとっての“光”だと続ける。
「前向きで、希望に溢れてキラキラしたふうかの目を見ていると、『私も、彼女に誇れる生き方をしたい』と身が引き締まるんです。ふうかの姿は、弱い私を強くしてくれるんですよ」
強く生きる娘の姿に触発されて、星野さんは今年、大きなチャレンジをした。専門的な知識やスキルが必要な国家資格「社会福祉士」の試験を受け、見事合格したのだ。
「まだ資格を取ったばかりで、私にできることは多くはないのですが」と謙遜しながら、資格取得の理由をこう説明してくれた。