両親の反対を押し切って実家を飛び出し、19歳のとき結婚・出産した畠山織恵さん(44)。生まれた息子・亮夏(りょうか)さん(24)は、生後9ヶ月で「脳性麻痺」と診断された。彼女は、障害とともに生まれたわが子を、どのように育ててきたのだろうか?

 今年7月、親子の歩みを綴った著書『ピンヒールで車椅子を押す』(すばる舎)を上梓した畠山さんに、診断を受けるまでの経緯や、育児中の葛藤、畠山さん自身の生い立ちなどを聞いた。(全2回の1回目/2回目に続く)

畠山織恵さん ©橋本篤/文藝春秋

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息子が生後9ヶ月で脳性麻痺と診断されるまでの経緯

――畠山さんが19歳で出産した長男の亮夏さんは、生後9ヶ月のときに「脳性麻痺」の診断を受けたそうですね。

畠山織恵さん(以下、畠山) 診断を受けたとき、お医者さんに「なんでもっと早く診察に来なかったの、何やってたの」と言われてびっくりしましたね。それまでも何人かのお医者さんに診てもらって「今は様子見で大丈夫」と言われていたのに……。

――診断を受ける前から、兆候はあったのですか?

畠山 亮夏は、出産予定日より1ヶ月ほど早く生まれました。その影響もあってか、「同じ月齢の子より成長が遅いかも?」と思う場面が多かったですね。

 だから発達について、定期検診で相談したり、主治医に聞いたりもしたんですよ。でも、その度に「早産だから」「個人差があるから」と言われて。9ヶ月になるまで、詳しい検査をしたことはなかったです。

畠山織恵さんと亮夏さん(写真=畠山織恵さん提供)

――どんな場面で、「成長が遅いのでは」と感じていたのでしょうか。

畠山 育児雑誌や母子手帳に、赤ちゃんの一般的な成長の目安が書かれていますよね。例えば「首がすわるのはいつごろから」とか、「この月齢からおもちゃを握れるようになる」とか。そういったものが、まったく当てはまらない子でした。

 何ヶ月経っても連続して1時間ほどしか眠らないし、ミルクは規定量の10分の1くらいしか飲まない。検診に行くと、笑ったり、おもちゃで一人遊びしたりしている子がいる中で、亮夏はずっと泣いているだけ。抱っこをしてあやしても、私の腕や服に掴まることもしない。周りとの違いに、いつも不安を感じてました。

――診断を受けて、最初はどのように感じましたか。