ギリギリを攻める彼らにとって、「普通の車」は退屈の代名詞だ。極限の車高で独自のスタイルを表現する、改造車オーナーたちのドラマに迫る!
今回は、レクサスRCをカスタムするヒカルさんをご紹介。
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「個人的な趣味」が「生活を支える仕事」に
このRCにはもう9年くらい乗っているんですけど、これまで15回ラッピング(車の外装を特殊なシートで装飾する技術)をしているんです。
コロコロ色が変わるので、友人から「誰かと思ったわ」と言われたり、向かいのおばあちゃんから「また色変わってるわー! えらいカッコいいわー!」なんてリアクションをもらえることもありますね。
実はぼく自身、去年の5月にラッピング屋を始めたばかりで……。前職がフィルム全般を加工する会社だったこともあり、ラッピングそのものはもう、10年以上前から趣味でやっていたんですよね。
それで、5年ほど前から友人にも頼まれるようになり、「やるなら場所は用意してや」と伝えたら、友人の馴染みの車屋さんがピットを貸してくれることになり……。
なんでもその車屋さんもラッピングに興味があるようで、その後も「ピット使っていいですよ、何ならうちのお客さんのもやってもらえないですか?」と。自分の車も弄っていいと言うので、お言葉に甘えてずっと作業していたら、そのうち鍵まで渡されてしまったんですよ。
そうやって、自分の意志というより、どんどん環境の方から整っていった感じなんですよね。妻の方も「はよ会社なんて辞めたら?」と背中を押してくれて、むしろぼくだけが最後まで踏み切れずにいて。
子どもも2人いますし、安定した環境を変えるのは怖いじゃないですか。でも迷っていても何も変わりませんし、「40歳までにどうにかせな」と3年ほど悩み、39歳でようやく独立を決めたんですよ。
正直、退職を伝えるときも見切り発車で、いつから開業するのかも考えていなかったんですけどね。それでも、もともと自分の車を預けていたショップさんから依頼を受けたり、ありがたいことにお客さんは途切れない状態です。
そうやって、周囲の人から色々と後押ししてもらっているんですけど、子どもたちだけは車に興味を示さないんですよ。小学6年生と4年生になりますけど、スマホを持ってからはポケモンGOに夢中で、ぼくの車はその移動手段でしかないですね。
まぁ、ぼくから子どもにあぁなれこうなれって指示するもんでもないですし……。好きなことをして、元気に育ってくれたらいいと思いますね。

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