ギリギリを攻める彼らにとって、「普通の車」は退屈の代名詞だ。極限の車高で独自のスタイルを表現する、改造車オーナーたちのドラマに迫る! 

 今回は、スズキ・ラパンをカスタムする「kenlapi」さんをご紹介。

前職までは車の改造が禁止されており、ほとんどノーマル状態で乗っていたとのこと

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「Sクラスから軽へ」乗り替えで人生も激変

 このラパンを買う前は、ベンツのSクラスに乗っていたんです。その前にもCクラスとかトヨタのヴェロッサとか、高級感がウリの車を選ぶことが多かったですね。

 というのも、自分は18歳の頃からディーラーで働いていて、ずっと改造ができない環境だったんですよ。なので「なるべくノーマルでいい車に乗ろう」という気持ちでしたね。

「オールドユーロ」をコンセプトに製作されたスズキ・ラパン。軽とは思えない質感だ

 でも10年くらい前に内装工事の仕事に転職して、最初の頃はお財布の面で不安があって。Sクラスの維持を諦め、「どうせ小さい車にするなら、いっそ軽にしよう」と選んだのがラパンでした。当初は完全に足のつもりで、15万円くらいで手に入れましたね。

可愛らしいデザインが車高の低さゆえドッシリした塊感をかもし出す

 もともとは仕事にも使うつもりだったので、こんなに弄るはずじゃなかったんですけど……。ただ、前職で弄りたい気持ちを抑えていたこともあり、「まぁホイールだけなら……」と手を出しちゃったんです。

 そうなるとやっぱり、どんどん「もっとこうした方が……」という欲が出てくるんですよね。「ガンダムっぽいエアロはイヤだな」とか、色々と試行錯誤しながら弄るうち、たまたま雑誌に読者投稿で掲載されることがあって、そこでちょっとおかしくなっちゃいましたね。

こだわり抜いて作りあげた自分だけの空間は、Sクラスにも負けない価値がある

 それからまたライトを丸目にしたり、他車種のグリルを流用したり、内装なんかにも凝っていって。基本はDIYでコストを抑えていますが、それでも300万円くらいはかかっているかな。

ラゲッジスペースに収められたエアサスシステムの物々しい存在感

 あとは、弄るなかで仕事には使いにくくなっていったので、結局また仕事用のエブリイを買い増したんですよ。結果的に、Sクラスを維持していた頃より全然お金はかかっちゃっていますね。

 ただそれでも、「仕事を変えずにSクラスに乗っておけば」とは思っていません。やっぱり弄る人は「人と違う車に乗りたい」という気持ちがあるので、どんな車に乗ろうがノーマルじゃ満足できないんですよね。

カスタムだけでなく、イベントを通じた出会いが人生の刺激になっていると語る

 あと私の場合、日曜が休みになったのも大きな変化でした。以前はこういったカスタムカーのイベントがあることも知らなかったので、最初は「こんな世界があるのか」と感動しきりでしたね。

 今でもイベントから知り合いが増えていったり、こうして取材を受けたりと、これまで想像できなかったことが起こるので、転職してラパンを買ったのは正解だったと思いますよ。

記事内で紹介できなかった写真が多数ございます。こちらよりぜひご覧ください。