ギリギリを攻める彼らにとって、「普通の車」は退屈の代名詞だ。極限の車高で独自のスタイルを表現する、改造車オーナーたちのドラマに迫る!
今回は、スズキ・ラパンをカスタムする「kenlapi」さんをご紹介。
◆◆◆
「Sクラスから軽へ」乗り替えで人生も激変
このラパンを買う前は、ベンツのSクラスに乗っていたんです。その前にもCクラスとかトヨタのヴェロッサとか、高級感がウリの車を選ぶことが多かったですね。
というのも、自分は18歳の頃からディーラーで働いていて、ずっと改造ができない環境だったんですよ。なので「なるべくノーマルでいい車に乗ろう」という気持ちでしたね。
でも10年くらい前に内装工事の仕事に転職して、最初の頃はお財布の面で不安があって。Sクラスの維持を諦め、「どうせ小さい車にするなら、いっそ軽にしよう」と選んだのがラパンでした。当初は完全に足のつもりで、15万円くらいで手に入れましたね。
もともとは仕事にも使うつもりだったので、こんなに弄るはずじゃなかったんですけど……。ただ、前職で弄りたい気持ちを抑えていたこともあり、「まぁホイールだけなら……」と手を出しちゃったんです。
そうなるとやっぱり、どんどん「もっとこうした方が……」という欲が出てくるんですよね。「ガンダムっぽいエアロはイヤだな」とか、色々と試行錯誤しながら弄るうち、たまたま雑誌に読者投稿で掲載されることがあって、そこでちょっとおかしくなっちゃいましたね。
それからまたライトを丸目にしたり、他車種のグリルを流用したり、内装なんかにも凝っていって。基本はDIYでコストを抑えていますが、それでも300万円くらいはかかっているかな。
あとは、弄るなかで仕事には使いにくくなっていったので、結局また仕事用のエブリイを買い増したんですよ。結果的に、Sクラスを維持していた頃より全然お金はかかっちゃっていますね。
ただそれでも、「仕事を変えずにSクラスに乗っておけば」とは思っていません。やっぱり弄る人は「人と違う車に乗りたい」という気持ちがあるので、どんな車に乗ろうがノーマルじゃ満足できないんですよね。
あと私の場合、日曜が休みになったのも大きな変化でした。以前はこういったカスタムカーのイベントがあることも知らなかったので、最初は「こんな世界があるのか」と感動しきりでしたね。
今でもイベントから知り合いが増えていったり、こうして取材を受けたりと、これまで想像できなかったことが起こるので、転職してラパンを買ったのは正解だったと思いますよ。

記事内で紹介できなかった写真が多数ございます。こちらよりぜひご覧ください。