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相手女性の家に乗り込んで行こうと思い詰めたが…

 相手の女性の家に乗り込んで行こう、自爆テロのように相手も夫も、そして自分も破滅に追いやろう、私立探偵を使ってすべての情報を手に入れようと思い詰めたこともあった。しかし最後に行きつくのは、自分がみじめになることだけは避けたい、破滅的になれば自分の最後のプライドまでが崩れる気がする、という考えだった。

©AFLO

 夫が生き直したいのなら、私も生き直してやる、そのためにはどうすればいいのか……。アケミさんは、そんなぎりぎりの地点で何とか踏みとどまり、カウンセリングにやってきたのである。

 多くの部分をプライバシーに配慮して改変しているが、アケミさんと同じような例はいくつもある。来談するのはきまって女性の側であり男性ではない。そして全員が涙も出ないほど憔悴しきっている。夫に対抗して浮気でもしてやろうと思っても、そんなことはできない、虚しいしみじめになるだけだと語る。

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 彼女たちに共通しているのは、50代後半から60代にかけてという年齢、知的で自立的であること、時には実に魅力的に思えること、そして夫を心から信じ切って結婚生活を送ってきたことである。RLI(愛と性と結婚の三位一体説=ロマンティック・ラブ・イデオロギー)を身をもって生きてきたといえるだろう。

 アケミさんのように、その出来事さえ起きなければ、夫への信頼は揺るがなかっただろう。そして愛し愛される夫婦関係はほんとうに存在するという証明にもなっただろう。