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「早く死刑になったほうが、さっぱりしてようがさあ」
「面倒臭えから、さっぱりやってもらいやしょうぜ。なあに、早く死刑になったほうが、さっぱりしてようがさあ」
東京監獄(現在の新宿区富久町に所在)で絞首刑が執行されたのは1ヶ月後の6月26日。当時の看守によれば、処刑寸前も供物の饅頭とお茶を平らげ、さらには要求タバコを美味しそうに吸い「永えこと吸わねえもんだから、畜生ッ、頭がクラクラしやがらア。さあ。やってもらおうか」と終始堂々とした態度だったという。
そして、看守が目隠しをしようとした際には「よせやいッ。クタばっちまえばどうせ何も見えねえんだ」と宣い、絞首台の露と消えていった。享年44だった。