「私は八王子の土になります!」
萩生田候補の演説では、こうした野党候補による「批判」を批判し、「故郷を、八王子を守る」がキラーフレーズだった。他の候補はまるで侵略者のような扱いだった。
さらにもう一つのキラーワードがあった。「私は八王子の土になります!」である。ジャーナリストの鈴木エイトさんによれば和歌山2区に出馬していた二階敏博氏の三男も「和歌山の土になります」と叫んでいたという。空前の土ブームである。
有田芳生氏の気になる言動
萩生田氏の対立候補として注目を浴びていた立憲民主党の有田芳生候補の演説も見た。気になったのは「選択肢は2つ」と言い切っていたことだ。つまり自分か萩生田か、と。
この選挙区には他にも4名が立候補していたので少し口がすべったのかと思い、私と同行していた鈴木エイトさんが「他の候補者は眼中にないのですか」と確認のために尋ねると有田氏は「眼中にない」とキッパリ。
このあたりの振る舞いは有権者にはどう見えたのだろう? 萩生田候補が「八王子を守る」論法で展開していくのは予想できたので、立憲はたとえば地元出身の候補を立てることはできなかったのか? 野党の戦術についてもしばし考えた(有田氏は惜敗、比例復活)。
萩生田光一氏への質問のタイミングを探る
私はここ数年、ラッパーのダースレイダーと共に全国の選挙現場を見ている。直接候補者に質問をする大事さを実践している。今回なら萩生田氏と話をしてみたい。ただ、ガードは厳重でなかなか話しかけるタイミングがない。そんなときに気づいたのが萩生田氏が選挙カーでずっと流している曲だ。
調べると『ぼくらの八王子』で作詞はファンキーモンキーベイビーズ。ダースさんが「CDを出されたら無下な扱いはできないのではないか」とミュージシャンならではの発想をした。そして「ボクがサインをもらうので、そのあとに鹿島さんが質問してください」と。
萩生田氏の気が少し緩んだところに私が質問をするという作戦だ。しかし群衆の中でそんなことはできるのか。懐疑的だったがダースさんは本当にCDを見せながらサインをお願いした。