「外国人差別は絶対許さない」
――ミニマムな感じのデザインがいいんですかね。
HANA そうみたい。ニトリとか好きですよ。ああいう、コンパクトでシンプルに完結しているやつが好きみたいです。
エジプトってお家が大きいんですけど、テーブルも椅子も全部大きいんです。夫からすると、「そこがエジプト人のバカなところだ」って。「大きい家だからって全部大きくする必要はないじゃないか」と言ってます(笑)。
――逆に、モスタファさんが日本で暮らしにくさを感じられているところはありますか。
HANA 人種差別です。そういう目に遭ったときは私が容赦なく相手を叩きのめしますね。外国人差別する人は許さないので。
――具体的にはどんな差別があったのでしょうか。
HANA 結局、言葉なんですよね。私たちは日常会話が英語ということもあって、モスタファは日本語が得意じゃなくて。そうなると一気にバカにされるというか。
例えばコンビニで「袋いりますか?」って聞かれてとっさにわからなくて「?」みたいになっていると、「ふ・く・ろ・い・り・ま・す・か!」みたいにキツく返されたり、彼が日本国内で車の免許を取る時も、教官から日本語で高圧的な態度をとられて試験を落とされたと言っていて。
――モスタファさんはそういった差別についてどのように話していますか。
HANA 「外国人だからしょうがない」って。でも私が外国人差別は絶対許さないので、免許証の一件のときも、教官の名前を聞いて向こうが謝罪するまで徹底的に言いましたし、コンビニの店員にも、「今なんて言ったの?」って言い返します。そうすると向こうが「ハッ」とするんですよ。「あ、コイツ日本人だった、ヤベ」みたいな。
エジプト人から見た日本とは…
――今、インバウンドで日本にはたくさんの外国の方が来ていますが、それによって差別の状況が変わったようなところはありますか。
HANA それは全くないですね。あるとすれば、前よりも彼の日本語が上達したことで多少マシになったかな、という感じです。
――逆に、HANAさんがエジプトで差別にあったこともありますか。
HANA 「チャイニーズ」とよく言われるので、「中国人じゃない!」ってその度に返してます。で、「日本人」と言うとエジプト人の態度がコロッと変わるんです。
――それはいい意味での変化?
HANA 「おお~」って感じですね。エジプトの人にとっては“アメリカンドリーム”的な感じで、“ジャパニーズドリーム”があるみたいです。あとは、日本人はだましやすい、っていうのもあるかもしれない。ナメられているところはあると思いますよ。知り合いの女性たちがエジプト男性たちに騙されて泣く姿をたくさん見てきましたから。
写真=深野未季/文藝春秋
記事内で紹介できなかった写真が多数ございます。こちらよりぜひご覧ください。