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ナイトクラブで踊るベリーダンサーは…

――エジプトに行くようになったのはベリーダンスの修行のため?

HANA そうです。エジプトはベリーダンス発祥の地なんですけど、あんまりいい歴史でもなくて。日本で言えば「大奥」みたいな。

 だから夫は自分の両親にも私の職業は伝えていないし、友だちにもほとんど話してないと思います。エジプトでベリーダンサーは「娼婦」の扱いなので。

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――日本での受け止めとは全然違うんですね。しかし、自分が誇りに思っている職業を夫に隠されてしまうって、ちょっと寂しくないですか。

HANA 全然。最初からそういうものだって私は知ってたんで。夫は「日本人と結婚した」くらいまでは言ってるみたいですけど、「パートナーはどんな仕事してるの?」と聞かれたときに嘘をつきたくないから話してないんだと思います。

 嘘をつくことはイスラム教の教えに反することなので。私なんか、適当に言っとけばいいのに、とかって思うんですけど、彼は真面目なイスラム教徒だから。

 

――それでも、モスタファさん自身にはベリーダンサーに対する差別意識がなかったということですよね。

HANA ただ、私が1回でもエジプトのナイトクラブで踊ったことがあれば、絶対結婚はしてくれなかったと思うし、付き合ってもないと思います。

 ナイトクラブで働いているベリーダンサーと、そうではない、私のようなフェスティバルなどで踊るベリーダンサーはまったく別物なんですよ。

――ナイトクラブで踊るベリーダンサーというのは、そんなに意味合いが違うんですか。

HANA 基本的にナイトクラブで踊るためのオーディションは、オーナーとの体の関係と言われています。

 あと、イスラム教でお酒はNGですけど、ナイトクラブってお酒を飲むじゃないですか。エジプトに行って思うんですけど、エジプト国内でお酒を飲んでいるエジプト人は本当にろくでもないんです。国外に出て、ヨーロッパとかでバカンスで飲むのはいいんですけど。

エジプト人にとってのお酒とは

――それは、イスラム教の教えに背いてお酒を飲んでいるから?

HANA 教えももちろんなんですけど、まっとうな生き方をしていれば、エジプトでお酒に辿り着くことってまずなくて、基本的に街中でお酒が買えないんですよ。

――そこまで厳しいんですね。