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《初めまして。私は石井陽一郎と申します。警察では私の関与を疑っているようですが、私は無関係です。彼女はホスト遊びで作った借金のカタに置屋に売り飛ばされ、客を取らされているようです。でも、ある意味、天職でしょうから、楽しくて逃げ出す気にならないのではないでしょうか。ひと稼ぎしたら、ひょっこり戻ってくるでしょう》
男にくだされた罰は…
だが、ついに警察に居場所を突き止められ、死体遺棄容疑で逮捕された。
遺体や凶器は見つからなかったが、夏美さんの部屋や遺体の運搬に使ったとされるレンタカーから夏美さんの血痕が検出された上、石井の供述通り、夏美さんのスマホが川の中から見つかったことなどから、殺人容疑でも再逮捕された。
「私のせいで夏美が亡くなったのは事実です。夏美と付き合ってひどいことをされたけど、私の方がもっとひどいことをしてしまった。申し訳ない。お詫びの言葉も見つかりません。お母さんになぜあんなひどい手紙を送ってしまったのかも分からない」
裁判所は「女性に対する執着心が満たされず、女性への暴行事件で失職したことの責任を転嫁し、逆恨みの気持ちを募らせた。殺害にとどまらず、遺体を処理して、その痕跡を完全に消し去ることまで目論んだ計画性の高い犯行だ」と断罪し、石井に懲役29年を言い渡した。