11月6日に閉幕した第37回東京国際映画祭では、吉田大八監督の『敵』が東京グランプリ、主演男優賞(長塚京三氏)、監督賞の3冠を獲得。10日間にわたった華やかな映画の祭典の掉尾を飾った。

 そんな最終日、リム・カーワイ監督と週刊文春CINEMAは、コンペティション部門の審査委員として来日した香港のジョニー・トー監督に単独インタビューを敢行。『ヒーロー・ネバー・ダイ』『ザ・ミッション 非情の掟』『エレクション 黒社会』『エグザイル/絆』などで知られ、日本でも熱狂的なファンが少なくない香港ノワールの巨匠だ。

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 クロージング・セレモニー直前という多忙な合間を縫って現れたトー監督は、映画祭期間中に見られたカジュアルな装いとちがい、シックなスーツ姿。

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 にこやかな笑顔で力強く握手する両監督。実はリム・カーワイ監督は、かつてイタリアのウディーネ極東映画祭でトー監督といっしょにカラオケに行ったことがあったのだが、残念ながらトー監督は覚えていなかった。

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 トー監督は、東京国際映画祭を新しい映画の作り手の発見の場として評価しているものの、一方で今回接した作品の未成熟さも指摘した。映画とはモーション・ピクチャーであって、映画の言語で見せるべきものなのに、説明的な演出が多いことが気になったという。

 また、今好きな日本の映画作家として、是枝裕和監督、濱口竜介監督の名前を挙げて、その理由も語った。是枝氏や濱口氏のような監督は今の香港からは生まれないだろうという見方も披露。そして、スタジオシステムが崩壊した香港映画の現状に対する憂慮も語った。

 配信やAIに対する考えなども含めて、貴重なインタビューの詳しい内容は、12月発売予定の「週刊文春CINEMA2024冬号」で紹介される。