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 そこでたとえば、肩こりがひどくてつらい、などと言われたら「たかが肩こりと甘く見てはいけない。もしかしたら大きな病気につながるかもしれない」「実は、すごくいい人を知っているのだけど」と霊能者や占い師を紹介します。「特殊な力で悪いところを見つけてくれて、肩こりを治してくれる」「人助けが趣味のような人だから、料金はかからない」「お願いする人が多いから、ふだんは何ヶ月も先まで空きはないけれど、今回はキャンセルがあったので特別に会えるチャンス」などと言葉巧みに誘います。

 最初はあまり乗り気でなかった対象者も、「この人が熱心に誘ってくれるから」「料金がかからないなら」「せっかくのチャンスなら」まあいいか、というくらいの気持ちで首謀者たちのところへ向かいます。

 そうして対象者が自分たちのところへやってきたら、しめたものです。霊能者や占い師は、対象者と初対面であるにもかかわらず、ひどい肩こりに悩まされていることをズバリと言い当てます。それどころか、家族や仕事のこと、ふだんの行動傾向や好きなことなども、初めて会ったのに、どんどん当ててみせます。当てられた対象者がとても驚いて、この人の特殊な能力はすごい、と思うのも無理はありません。

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 タネ明かしは簡単です。対象者と親しくなっていた協力者がすでに聞きだしていたさまざまな情報を、事前に霊能者や占い師が把握していたにすぎません。けれど、対象者はそんなことなど夢にも思わないので、まるで上手な手品を見て「これは魔法か?」と驚くような気持ちです。

©AFLO

 最初は霊能者や占い師に対して、どうということはない心持ちだった対象者が、この霊能者(や占い師)はすごい人だという意味づけをおこない、目の前の霊能者(や占い師)への気持ちが劇的に変化します。ここで、これまでになかった強いプロジェクションがなされたというわけです。

 ここからは、プロジェクションとの関連で、詳細なプロセスを見ていきましょう。目の前の人物には特殊な力があると信じこんだ対象者に、「○○をすれば、すぐに肩こりは治りますよ」とアドバイスをします。信じている対象者は○○をしてみますが、肩こりは一向に良くなりません。