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「若いね、20歳?」

 待ち合わせ場所は野崎氏の自宅から徒歩5分、普段からよく利用しているコンビニだった。4月8日の午前0時過ぎ、密売人たちが到着。コンビニから少し離れた路地で、覚醒剤の受け渡しを担当したのがAだった。

「落ち合ってすぐ、私はコンビニで降ろしたばかりの10万円が入った封筒を彼に渡しました。Aさんも封筒を渡してきて、中に白い塊があるのをチラッと見ました」(同前)

 須藤が目にしたのは、覚醒剤または氷砂糖の結晶入りのパケを包んだ、ティッシュペーパーだったと思われる。取引が終わると、Aが話しかけてきた。

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「Aさんが『若いね、20歳?』と聞いてきたので、私は本当は22歳(当時)だけど、ウンウンと適当に返事をしました。Bさんには夫がいると話してあったので、Aさんが『ダンナがいるんだろ?』と。『注射器はいらないか』とか『炙りで使うのか』と言われましたが、私は聞き流しました」(同前)

初公判に出廷した須藤早貴被告=12日、和歌山地裁[イラスト・松元悠氏] ©時事通信社

 密売人と別れた須藤は封筒を持って帰宅。8日の夕方、野崎氏に渡した。お礼を言って受け取った野崎氏は翌日9日、「あれ、使いもんにならん。ニセモンや。もうお前には頼まん」と通告してきたという。以後、須藤は野崎氏と覚醒剤に関する話をしていないと証言した。

 野崎氏の命を奪った覚醒剤は、この公判のキーワード。だが、弁護側の被告人質問を通して、須藤が法廷で認めているのは、密売人と接触した事実のみ。購入したのが本当に覚醒剤だったかどうかは確かめる術はなく、須藤に入手を依頼した野崎氏は後日、「あれはニセモンや」と話したというのだ。須藤の主張を裁判所側はどう受け止めるのか。

 3期日に分けて行われる被告人質問は、11月11日、15日と続く。11日からは検察側からの質問が始まる予定だ。

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