にしおかすみこさんが、認知症&糖尿病の母、ダウン症の姉、酔っぱらいの父と暮らし始めてから4年が経つ。

ポンコツ一家2年目』で語る生活ぶりは壮絶そのものだが、にしおかさんの表情は決して暗くない。自分を保つ秘訣とも言える「全部はやらない、全部はやれない」という言葉の真意とは。

にしおかすみこさん ©文藝春秋 撮影・杉山秀樹

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――ご家族と激しく揉めるお話もされていますが、一方で仲の良さも感じます。昔から関係は悪くなかったのですか?

にしおか 忘れちゃったなぁ……1人暮らしが長かったから。うちは母が大黒柱で、看護師さんとして働きながら、姉と私を愛情深く育ててくれた家庭ではありました。父は定年までサラリーマンでしたけど、昔から働いたお金を飲み代に使っちゃう酔っ払いで、最初から今までずっと戦力外(笑)。本当にブレないな、とは思いますね。それで関係がうまく回ってたかどうかはわかりませんけど、そのかたちでこれまでやってきました。

「母のネガティブな発言が増えていたのは驚きました」

──久しぶりに実家での同居生活が始まって、家族の変化に驚くことはありましたか?

にしおか 母はもともとはポジティブな人だったので、ネガティブな発言が増えていたのは驚きました。

 それと、ダウン症の姉は「早く歳を取ってるな」っていうのはすごく感じます。長生きする方もたくさんいらっしゃいますけど、ダウン症は老化が早まると聞いたりもします。だから年齢は1個しか違わないはずなのに、どんどん先を行っちゃってる気がして寂しくなることはありますね。

 

──お姉様の病院には今でもお母様が付き添われているんですよね。お2人だけの外出に不安はありませんか?

にしおか 現在は姉の病院に関しては母が付き添い、そのすぐ後ろを私が暇だからみたいな顔して付いて行きます。3人で行ってます(笑)。でも私、率先はしません。

 認知症とは言っても母ができることはまだたくさんあって、特に姉の面倒は母が全部見てるんです。できないことも増えてはいくんだけど、できることになるべく目を向けて、難しかったりミスをしたときになんとなくフォローすればいいやって思うようにしてます。

 他にも例えば、姉が通っている作業所の日々の連絡事項等なんかも基本は母がやっていて、難しいことだけ職員さんが私にお知らせしてくださってフォローする、みたいな。周りの方々にもだいぶ助けていただいてます。