米大統領選でドナルド・トランプ氏(78)が勝利したことを受け、中国との間で貿易戦争が再燃するとの見方が強まっている。現下の状況を、中国の売上高比率が高い企業はどう受け止めているのか。「週刊文春」は各社に見解を求めた。
前政権の時より中国に対して強硬な姿勢に
全ての中国製品に60%の関税をかけると主張しているトランプ氏。前回の政権時には中国からの輸入品に最大25%の関税をかけ、これに対し、中国側が報復関税に踏み切るなどして、両国間の貿易戦争に発展した。
「トランプ氏は今回、前政権の時より中国に対して強硬な姿勢になっている。中国での売上高比率の高い日本企業は戦々恐々としています」(経産省関係者)
液晶パネル事業で不振が続くシャープ
代表格が、経営不振に陥り、2016年に台湾・鴻海精密工業の傘下に入った電機大手のシャープ(大阪府堺市)だ。以降、海外販売に活路を見出し、中国への依存度も高めてきた。近年の中国の売上高比率は約35%に及ぶ。
「11月12日に発表した今年4~9月期中間決算では、純利益が前年同期比4.6倍の229億円だった。ただ、液晶パネル事業などは相変わらず苦しい状況が続いており、楽観視はできない情勢です」(経済部記者)
そうした中、逆風にもなり得るトランプ政権の誕生をどう見ているのか。シャープに見解を尋ねたところ、以下のように回答した。
「ご質問につきましてですが、誠に恐縮ではございますが、現時点で、コメントは控えさせていただきたく存じます」
中国の売上高比率が50%を超えるTDK
シャープ以上に中国の売上高比率が高いのが、電子部品メーカーのTDK(東京都中央区)。2023年度は円安の恩恵を受けながら、中国の景気低迷もあって、村田製作所(京都府長岡京市)など電子部品の主要各社は揃って厳しい業績となった。
「そうした中で、TDKはなんとか増益を維持した。ただ、中国の売上高比率は実に50%を超えている。株価は今のところ、堅調に推移していますが、今後、貿易戦争の煽りをもろに受けることになりかねません」(前出・記者)
TDKに見解を尋ねたところ、以下のように回答した。
「自社の株価見通しについてのコメントはございません。当社は事業環境の変化に対応し、引き続き企業価値向上に努めてまいります」
11月13日(水)正午配信の「週刊文春 電子版」ならびに11月14日(木)発売の「週刊文春」では、「トランプ大統領で『勝つ会社』『負ける会社』」と題した特集を掲載。「中国リスク」を抱えるTDKやシャープ以外の企業の名前や、「売れる車がない」と言われる日産自動車の苦境、円建て資金を調達したバフェット氏が次に狙う銘柄などについて報じている。
また、「週刊文春 電子版」では、関連する2本のオリジナル記事を配信している(《一問一答完全版》日本製鉄・橋本英二会長がUSスチール買収の内実を激白、トランプ大統領で逆風が吹く「再エネ企業」の実名)。“トランプ経済”の行方を読み解くのに必読の内容だ。
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