「普通と違う」という孤独と喜びに、深く取り憑かれてしまった者たちがいる。「唯一無二」を追い求めてやまない改造車オーナーたちの情熱は、一体どこから湧きあがるのか?

 今回は、N-BOXを過激にカスタムする「那悪鬼(なおき)」さんをご紹介。

毎回仕事のために買った車を弄りすぎてしまい、また別の車を買い直すハメに

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高級住宅街で“軽の改造車”に乗る理由

 都内で建設系の職人をしているので、車を買うときはいつも、動きやすくて荷物も積める軽自動車を選んでいるんです。これの前はワゴンRに乗っていたんですが、弄るうちに仕事では使いにくくなってしまったので、また仕事用にこのN-BOXを買ったんですよ。

過去にはオートサロンへの出展歴もある本気仕様のN-BOX

 ただ見ての通り、いざ買ったらこっちも弄らずにはいられなくて。とくにこの車は、ちょっと前にオートサロンに出そうとガッツリ手を入れたので、結局また別の軽を買うハメになっちゃったんですよね。

ドアを開けた瞬間、外部から隔絶された妖しい空間が広がっている

 この車はもう8年くらい弄っているんで、改造費は800万円とか、900万円くらいですかね。周りからはしょっちゅう「普通に高級車買えばよかったじゃん」と言われますが、弄っている側からすると、ほんとに「気づいたらいつの間にか」としか言いようがないんですよ。

 自分の気持ちとしては、高校時代に原付を弄っていた頃と変わらないんですよね。買ったときはそれで満足していたはずなのに、ちょっと弄り出すと止まらなくなっちゃって。

車内は光沢感の強いレッドとラメ入りのブラックで仕上げる

 でも一応、生活には困らないように、車のお金は全部タンス貯金から出すようにしているんですよ。近場の現場には自転車で行くようにして、それだと駐車場代で1日3000円くらい浮くじゃないですか。その分を毎回貯めておいて、ショップに預けるときにドバッと使う感じですね。

 もう今は完全にN-BOXをイベント用にしていて、普段はガレージ保管なんですけど……たまに車を出して洗っていると、小学生から「エヴァンゲリオンだ!」と指をさされたり。あとは、よく外国人の方から写真を撮っていいか聞かれますね。

二段構成のスポイラーがリアビューの差別化ポイントに

 自分は祖父の代から港区に住んでいて、近所にこういう車はいないんで、だいぶ悪目立ちしているんでしょうね。

 でも、自分が小さい頃は「港区=金持ち」みたいなイメージはあんまりなくて、結構ヤンチャな人も多かったんですよ。もともと自分もそういう先輩の影響で、バイクや車を弄るようになって。

便利なスライドドアをあえて跳ね上げ式に。並々ならぬオンリーワンへのこだわりが窺える

 今はそういうつながりもなくなりましたけど、車弄りからは離れられないですね。たぶん、歳をとっても何かしらは弄っているんじゃないかな。