「普通と違う」という孤独と喜びに、深く取り憑かれてしまった者たちがいる。「唯一無二」を追い求めてやまない改造車オーナーたちの情熱は、一体どこから湧きあがるのか?

 今回は、光岡自動車の「リューギ」をカスタムする遠藤さんをご紹介。

都心で遭遇したロールス・ロイスに衝撃を受け、リューギの購入を決意した遠藤さん

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趣味も仕事もファッションも…行動原理はいつも車

 このリューギは、光岡自動車がカローラアクシオをベースにして、昔のロールス・ロイスを再現した車両なんです。光岡っていうのはちょっと変わったメーカーで、現代の車をクラシックカー風の見た目に改造して販売しているんですよね。

ロールス・ロイスの高級車「シルヴァークラウド」をモチーフにした光岡の「リューギ」

 なのでリューギ自体が一種の改造車ですし、わざわざ弄る人は珍しいかもしれませんが……そもそも自分の場合は、「ロールスを弄ってみたい」ってところからスタートしているんですよ。

リアビューからはリムジンのような雰囲気も

 というのも、前車のレクサスISで都心の方まで遊びに行ったときに、たまたま信号待ちで横にロールスのファントムが止まって。とてつもない存在感に、「うわ、こういうの弄ってみてぇな」と一目惚れしてしまったんですよね。

 それで、お世話になっているショップに「なんかロールスっぽい車ない?」と相談したところ、教えてもらったのがリューギだったんです。調べると手の届く価格帯だったので、すぐ購入を決めましたね。

クラシックな外観に対し、インテリアは現代型の使いやすさを生かしている

 実際に買ってからは、海外でロールスを弄っている人を参考にしながら、アクシオ用のパーツを加工して取りつけたり、色々と工夫しつつ弄っています。専用のパーツが出ていないので、そこは少し苦労しているところですね。

 せっかくの車をこれだけ弄って、光岡の普通のオーナーからは、白い目で見られていると思いますけど……ただ自分にとっては、改造車が小さい頃からの憧れだったんですよね。

70年代のスーパーカーブームの頃に流行したスター型ホイール

 地元が東京のなかでも埼玉寄りのエリアで、昔はバニングやVIP系の車がしょっちゅう走っていて。おじいちゃんが散歩の帰りに「あそこにカッコいいのがあったよ」と教えてくれて、見に行くとイカつい改造車だった、みたいな思い出もありますね。

 自分で弄るようになってからも、よく目にしていたVIP系の要素は取り入れたいなと。ちなみに普段着ている服も、「車がこれだったら、オーナーはこんな感じだろう」と、車に合わせて決めているんです。

車のテイストにあわせて自身のファッションを決めているという

 なのでほんとに、車が生活の中心になっているといいますか。稼いだお金は、ほとんど車のカスタムやミニカー集めに使ってしまいますし……。

 仕事もずっと運送関係で、葬儀屋さんの仕出し料理を運んだり、建築資材を運んだり。今はトラックで配達の仕事をやっています。やっぱり人生のなかで、少しでも多く車に触れていたいんですよね。