「普通と違う」という孤独と喜びに、深く取り憑かれてしまった者たちがいる。「唯一無二」を追い求めてやまない改造車オーナーたちの情熱は、一体どこから湧きあがるのか?

 今回は、180系クラウンマジェスタをカスタムする田中さんをご紹介。

カスタムを始めてから、普通の車では満足できなくなってしまったと話す田中さん

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「お金の使い道がある」ことの幸せ

 このマジェスタは6、7年前に買ったもので、当時はまだカスタムには関心がなかったんですよ。もともと通勤用の車を探しているときに、会社の上司から「マジェスタがいいよ」と勧められて買ったので、最初は普通に快適な車として乗っていましたね。

 そこから弄るようになったのは、友達に連れられて行ったドレスアップカーのイベントがきっかけです。それまで見たことがないような車ばかりで、「こういう世界があるのか」と一気に興味を惹かれてしまって。

シックなカラーリングのなか艶消しのライトが有機的な表情を浮かべている

 それでちょうど、マジェスタを整備に出していたショップがカスタムを扱っていたこともあり、少しずつ手を加えはじめたんですよ。その後もイベントやショップで色んな人から弄り方を教わって、どんどんハマっていきましたね。

ストライプ柄がリアのボリューム感を強調

 最初は自分でも、さすがにここまでやるとは思っていなかったですけど……ただどうせ弄るなら、人と被らないようにしたいんですよね。そうなるとやっぱり費用も嵩みますし、トータルだともう700万円から800万円くらいになっていると思います。

 それでも、自分としてはそこまで負担には感じていないんですよ。もともと消費欲が薄いのか、ギャンブルやお酒もやりませんし、たまに旅行をするくらいで、お金がかかる趣味はなかったんです。

ステアリングは純正のボタン類を残したままオレンジの革張りに

 なので車を弄るようになってからは、むしろ「ようやくお金を使う先が見つかった」という感覚もありますね。没頭できるものがあると毎日の生活に張り合いが生まれますし、後悔とかは全然ないですよ。

 親からは「そろそろいい大人なんだから」なんて言われますけど、今までこれだけ弄ってきて、もう普通の車じゃ満足できなくなっているんですよね。

足元にはレオンハルトのメッシュホイールを採用

 この車はイベント専用車にしているので、普段はBMWの6シリーズに乗っているんですけど、それも足まわりには手を入れていて。なので今後も、改造車を降りるって選択肢はないと思いますよ。

もともと通勤用のつもりで買ったマジェスタを過激にカスタムする

 イベントやショップでの付き合いを通じて仲間も増えていますし、今後もそういう関係を大事にしながら弄っていきたいですね。