「普通と違う」という孤独と喜びに、深く取り憑かれてしまった者たちがいる。「唯一無二」を追い求めてやまない改造車オーナーたちの情熱は、一体どこから湧きあがるのか?

 今回は、170系クラウンマジェスタをカスタムする「けん」さんをご紹介。

走り屋の多い地域で育ち、自身もかつてはスポーツカーを乗り継いだけんさん

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受け継がれる車好きのDNA

 地元が群馬の方で、「頭文字D」に出てくるような峠が近いこともあり、周りに走り屋だらけの環境で育ったんですよ。私の父もハコスカに乗っていましたし、兄も18歳で180SXを買って、自分もよく助手席に乗せてもらっていましたね。

発売から四半世紀が経つ今も根強い人気を誇る170系マジェスタ

 先輩や同級生もそういう車が好きな人ばかりで、自分も自然と180SXやシルビアに乗るようになったんです。よく山にも行っていましたけど、結婚を機にスポーツカーを降りるように言われ、それからはクラウンやエスティマを弄りつつ、ファミリーカーとして使っていましたね。

 今は離婚してバツイチなんですけど、シングルで3人の子どもを育てているので、車弄りはほどほどになっています。このマジェスタは知り合いから安く譲ってもらって、手を加えたのはエアロと足まわり、マフラーとラッピングくらいですかね。

光の加減によってさまざまな表情を見せる妖艶なカラー

 実際、前の車では弄りすぎて会社から通勤NGを喰らってしまっていたので……このくらいで済ませておくのがいいんでしょうね。

 車に対する子どもたちの反応は……ほんとに色々ですよ。18歳の娘は今年免許を取る予定で、最近は「セダン系に乗ろうかな」なんて言いはじめていて。興味をもってくれるのは嬉しい反面、お金の面で「最初は軽に……」とも思っちゃいますね。

助手席側のインテリアパネルにはなぜかバスの降車ボタンが

 16歳の息子は、高校で自動車科に通っています。以前はさほど車に興味を示さなかったのに、進路を決める頃に「親父がそんなに車に入れ込む理由を知りたい」と言い出して、わざわざ自動車科を選んだんですよ。

 不思議な理由ですけど、今は周りの影響もあってか「FDに乗りたい」と言うようになっていますね。

20インチの大径ホイールが足元で存在感を主張

 一番下の娘は13歳で、今日も一緒に来てくれているんですよ。ただ、車に興味があるというよりは、「遊ぶ予定もないし、暇つぶしに行ってやるか」くらいのノリですけど。

 車の趣味をイヤがったりはしませんが、一歩引いた感じで、将来の車も「普通のに乗りたい」といった感じですね。

この日は一番下の娘さんと参加。改造費を知った娘さんから「それならiPhoneを新しくしたい」とチクリ

 みんな年頃なのもあって、あまり言うことは聞いてくれませんけど、それぞれ色々考えつつやっているんだろうなと思います。3人がもう少し大きくなったら、自分はバイクでツーリングとか、趣味に生きるのもいいかもしれませんね。