「普通と違う」という孤独と喜びに、深く取り憑かれてしまった者たちがいる。「唯一無二」を追い求めてやまない改造車オーナーたちの情熱は、一体どこから湧きあがるのか?
今回は、170系クラウンマジェスタをカスタムする「けん」さんをご紹介。
◆◆◆
受け継がれる車好きのDNA
地元が群馬の方で、「頭文字D」に出てくるような峠が近いこともあり、周りに走り屋だらけの環境で育ったんですよ。私の父もハコスカに乗っていましたし、兄も18歳で180SXを買って、自分もよく助手席に乗せてもらっていましたね。
先輩や同級生もそういう車が好きな人ばかりで、自分も自然と180SXやシルビアに乗るようになったんです。よく山にも行っていましたけど、結婚を機にスポーツカーを降りるように言われ、それからはクラウンやエスティマを弄りつつ、ファミリーカーとして使っていましたね。
今は離婚してバツイチなんですけど、シングルで3人の子どもを育てているので、車弄りはほどほどになっています。このマジェスタは知り合いから安く譲ってもらって、手を加えたのはエアロと足まわり、マフラーとラッピングくらいですかね。
実際、前の車では弄りすぎて会社から通勤NGを喰らってしまっていたので……このくらいで済ませておくのがいいんでしょうね。
車に対する子どもたちの反応は……ほんとに色々ですよ。18歳の娘は今年免許を取る予定で、最近は「セダン系に乗ろうかな」なんて言いはじめていて。興味をもってくれるのは嬉しい反面、お金の面で「最初は軽に……」とも思っちゃいますね。
16歳の息子は、高校で自動車科に通っています。以前はさほど車に興味を示さなかったのに、進路を決める頃に「親父がそんなに車に入れ込む理由を知りたい」と言い出して、わざわざ自動車科を選んだんですよ。
不思議な理由ですけど、今は周りの影響もあってか「FDに乗りたい」と言うようになっていますね。
一番下の娘は13歳で、今日も一緒に来てくれているんですよ。ただ、車に興味があるというよりは、「遊ぶ予定もないし、暇つぶしに行ってやるか」くらいのノリですけど。
車の趣味をイヤがったりはしませんが、一歩引いた感じで、将来の車も「普通のに乗りたい」といった感じですね。
みんな年頃なのもあって、あまり言うことは聞いてくれませんけど、それぞれ色々考えつつやっているんだろうなと思います。3人がもう少し大きくなったら、自分はバイクでツーリングとか、趣味に生きるのもいいかもしれませんね。