トランプ新政権のもと“政府効率化省”のトップとなるイーロン・マスク。のみならず、国内外の政治の表舞台にトランプとともに連日登場。あつい信任を得た“最側近”さながらである。しかし、マスクはかつてトランプを「ペテン師」と呼んで嫌っていた──ベストセラー公式伝記『イーロン・マスク』(ウォルター・アイザックソン著 井口耕二訳)から、マスクの驚くべき “変遷”を紹介する。
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“リストラ王“としても有名なイーロン・マスク。トランプ新政権では、“政府効率化省“のトップに抜擢され、6兆7000億ドルの政府支出のうち「2兆ドル(約310兆円)は削減できる」と豪語している。
2022年に買収したツイッター社では、乗り込んで3週間のうちに社員の50パーセントを削減する“粛清”を行なった。“政府のリストラ”を期待するトランプに対し、マスクは早速こう応えている。
「最大限の透明化を確保するために、すべての活動をオンラインで公開する」
「税金の最もばかげた使い方ランキングも用意する」
巨額献金やXでの応援発信によって再選を支え、トランプからのあつい信頼を得たマスク。それゆえマスクが率いる電気自動車(EV)メーカーのテスラや宇宙開発ベンチャーのスペースXなどへの規制緩和が見返りとしてあるのでは、とも囁かれてきた。
まさに蜜月状態にあるふたり。だが意外かも知れないが、マスクはかつてトランプのことを「ペテン師」と呼んでいた。
トランプについて「米国に資する性格ではないように思う」
そこから、いつどのタイミングで、マスクとトランプは歩み寄っていったのか。以下、時系列で順を追ってみよう。
前回トランプが当選した2016年の選挙では、今回とは真逆にトランプ批判を痛烈に行っていたマスク。
「米国に資する性格ではないように思う」
とまで、テレビのインタビューに答えている。
だがいざトランプが当選すると、楽観的な見方に転じる。
「選挙戦のおかしな言動はあくまでパフォーマンスであり、実際にはもっと堅実な政権になるのかもしれない」