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決め手になったのは、モノマネ&スルメと眉毛

 地方予選は10人くらいのグループ審査だった。審査員の前で横一列に並んで、30秒間の持ち時間でそれぞれが「歌います!」「ダンスやります!」「〇〇が得意です!」と、特技を披露していく。

 私はギリギリまで演武と悩んだ末、先生のアドバイスを活かして芦田愛菜さんのモノマネをしながら、スルメの食リポをした。

 これだけを書くと、「うまく想像できない」と思う人もいるかもしれない。でもとにかく、芦田愛菜さんのモノマネをしながらスルメの食リポをしたのだ。

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 30秒後、私はしっかりとした手応えを感じていた。

 なぜなら、審査委員長がひっくり返って笑っていたからだ。それを見て「自分、ハマっているな!」と確信した。

 ただ、これに関してあとから事務所の人に聞いたら、モノマネがウケていたわけではなかったらしい。

 30秒しか持ち時間がないのに、わざわざ立ち位置から離れ、ステージ後方に置いたカバンまで物を取りに行き、「何が出るんだ!?」と期待値を上げながら、取り出したのがただのスルメだったことがツボにハマっただけだったという。とはいえ好感触は好感触なのだから、問題なしだ。

撮影/荻原大志

 予選突破の決め手になったのは、眉毛だったという。

 ステージを降りる時、「最後に前髪を上げてください」と言われ、かき上げたら審査員がどよめいた。

「え、あの眉毛は何?」

 当時の私は重たい前髪で、手入れをしてない眉毛を隠していた。その髪型が一番自分の顔が映えると思っていたのだ。

 審査員の人も前髪の下からそんな眉毛が出てくると思っていなかったのだろう。思わぬギャップになって「ヘンな間でモノマネをする、すごい眉毛の子がいる」と印象に残り、最終審査に進めることになったのだ。

 人生、本当に何が功を奏するかわからない。思いついたことはやるだけやったほうがいいとしみじみ思う。