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西成で薬物を売り続ける「ナゾの人物」
日を改めて、ベトナム人を紹介してもらった。西成では話はできないと言われたので、少し離れた地域の喫茶店で、紹介者とともにテーブルを囲んだ。年齢や住んでいる地域、仕事などはすべて聞かないという条件で話を聞いた。
売人のグェン(仮名)は、技能実習生として来日して1年半の若者だ。
「シャブのほかに大麻、MDMAとかなんでも持っているよ」と流暢な日本語で話す。
仕入れ先はベトナムではなく、日本のようだ。
「西成に卸元があるけど、けっこう高いから大国町の売人からいろいろ買ってる」
実際、西成の覚醒剤事情を取材している最中に、隣接する鶴見橋の名前とともに、大国町の名前は挙がっていた。
住民パワーで撤退したが、大国町にはかつて、風俗街があった。加えて、ミナミと西成の中間地点なので家賃が安い。ひと昔前と比べるとマシになったが、いまでも怪しさの残る地域である。
グェンいわく、大国町には何件も仕入れ先があるという。西成にあった中間卸元や売人が、交通の便がいい大国町に移り住んでいるらしい。
では、大国町に行けば一般人がシャブを買うことはできるのか。