大阪の「西成」で生まれ育ち、かつて「大阪最強の半グレ」と呼ばれていたサップ西成氏。地下格闘技の選手を経て、地下格大会の運営者となり、現在は格闘技イベント「BREAKING DOWN」への参戦や格闘技大会のプロモートなどに邁進している。

 そんなサップ西成氏が、激動の半生を綴った著書『サップ西成自伝 奪還 「大阪最強の半グレ」と呼ばれた男』(徳間書店)を上梓した。ここでは同書より一部を抜粋。サップ西成氏が、「BREAKING DOWN」に参戦した理由を紹介する。(全4回の3回目/4回目に続く)

サップ西成氏(写真=徳間書店提供)

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YouTubeに「サップ西成チャンネル」を開設

 2023年1月2日、私はYouTubeに「サップ西成チャンネル」を開設する。最近の私を観た視聴者の皆さんは、私が動画の撮影を「ノリノリ」で行っているように見えるかもしれない。

 だが当初、私は開設に否定的だった。

 すでに「BLUESTAR」に出場することは決まっていたが、それは「地下格闘技」という限定的な場所だ。

 ところがYouTubeにチャンネルを作って動画発信するということは、SNS上に「サップ西成」を甦らせるということである。

暴力業界が「サップ西成」を思い出すことを懸念

 私の過去を知った、堂島観光株式会社の社長は「現在の私」を受け入れてくれた。だが、世間が「ホンモノやないの……」と認識すると、私の生活が脅かされるのではないか。

 私は本気で懸念した。何よりサップ西成を忘れている暴力業界が思い出してしまうかもしれない。

 その時、すでに私はInstagramを利用していたが、そのアカウントは「@safuku」、つまり店の名前である。どうしても「サップ西成」に抵抗があったからだ。

 そんな私の杞憂を払拭してくれたのもアンディ南野氏だった。

 アンディ氏は現代社会のビジネスで「発信力」が非常に大きなパワーを持っていること。YouTubeで得た発信力を背景に格闘家から起業家に転身した人がいることなどを熱心に説明してくれた。