「BREAKING DOWNに応募してみよう」
アンディ氏が強調したのは北新地の「つどい 福」の経営である。どれだけ多くの人が助けてくれても「健全経営」とは言い切れない状況だった。「左福」と合わせてどうにか黒字を維持している状態だったのである。
どうせ格闘技大会に「サップ西成」で出るのであれば「サップ西成」のブランドを利用しない手はないのではないか。そのことはシナジーとなって必ず飲食店経営にプラスになる。そう口説かれた私が開設したのが「サップ西成チャンネル」(@sappnishinari)である。
それでも「発信力」とビジネスがどう関連していくのかは、当時の私にはまったくイメージができなかった。それを知ったのは「BLUESTAR」の試合後である。ヒロ三河選手との戦いの余韻に浸る私に、アンディ南野氏がこう提案してきた。
「BREAKING DOWNに応募してみよう」
当初、私はその提案を一笑に付した。
「BREAKING DOWN」を盛り上げる最大の要因とは?
「BREAKING DOWN」は、SNSが生み出した格闘技の新たな形である。格闘家が全力を出せる限界時間は約1分。だから1分間全力で戦ってどちらが強いかを決めようという、極めてシンプルなコンセプトである。
このコンセプトに従えば駆け引きや時間稼ぎ抜きで、全力でぶつかり合うことになる。既存の格闘技や格闘家のイメージを壊すという意味で「BREAKING DOWN」と名付けられた。
この大会を盛り上げる最大の要因の1つが出場選手の多様なバックボーンだ。元も含めたプロ、アマチュアの格闘家というオーソドックスな出自だけではなく、街のケンカ自慢、プロレスラー、有名格闘家の2世、アームレスラー、AV女優からダンサー、ホスト、キャバ嬢と多岐にわたる。
もう1つの魅力が「フェイスオフ」だ。
格闘技では敵対する2人の選手が顔と顔を極限まで近づけて睨み合い、相手を威嚇することを「フェイスオフ」という。試合の前哨戦として楽しみにしているファンは多い。