日本球界で一時代を築いた同学年の2選手が、来季の契約で残酷なまでのコントラストを描いた。楽天の田中将大投手(36)は11月24日、同球団と契約を更新せず他球団への移籍を目指すことを自身のYouTubeチャンネルで表明した。

 交渉で提示された大減俸をのめなかったためで、日米通算200勝にあと3勝と目前にした時点で前代未聞の退団となることは確実だ。

1億減とはいえ年俸5億円の厚遇を受けた坂本勇人 ©時事通信社

 2日後、巨人の坂本勇人内野手(35)は1億円減の年俸5億円で来季契約を更改したと発表された。近年は坂本も力の衰えが隠せなくなってきた中、単純比較できないとはいえ田中とは比べるまでもない厚遇を受けることになった。

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 少年野球時代に投手・坂本、捕手・田中としてバッテリーを組んだこともある2人の格差は、なぜここまで広がってしまったのか――。

 田中と、楽天で交渉役に立った石井一久シニアディレクター(SD)の契約交渉はわずか15分で終了したという。席上、今季の推定年俸2億6000万円から野球協約に定める減額制限(1億円以上は40%)を超える提示がなされた。

 減額制限は1億400万円までのため球団提示は最大でも1億5000万円程度。実際はその半分に満たず1億を切ったのではないかとみる球界関係者も少なくない。

楽天から厳しい条件を突き付けられ自由契約を選択した田中将大 ©時事通信社

「三木谷オーナーの費用対効果へのシビアさは有名ですが…」

 田中が2021年にヤンキースから復帰した時は日本球界最高年俸の9億円で2年契約を結び、鳴り物入りで凱旋した。

 しかし期待された成績は残せず、2年契約が終了した2022年オフは4億2500万円減の4億7500万円、昨オフはさらに2億1500万円減の2億6000万円、そして今年には3年連続の減額制限を超える提示を受けたことになる。9億円からは80%以上のダウンだ。

「ヤンキースで右肘を故障して、日本に戻ってきても変化球でかわす投球しかできていません。24勝0敗の記録を残した2013年の圧倒的な投球の面影はありません。それにしても球団の評価の急落ぶりは功労者に対するものとは思えません……。三木谷(浩史)オーナーの費用対効果へのシビアさは有名ですが、マー君も例外ではなかったのでしょう」(楽天の元首脳陣)