7年間所属したジャニーズ事務所を20歳で退所し、現在はメンズ地下アイドルのプロデューサーを務める大川慶吾さん(31)。
巨大な予算と時間と人数をかけて作られるジャニーズの世界から、観客がひとけたのことも珍しくない地下アイドルの世界へ。観客が使う金額やライブの苛烈なローカルルール、そして身体的な接触も……全く違うカルチャーに直面した驚きと、地下アイドルの実態について話を聞いた。
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――ジャニーズ事務所を退所したあと、男性アイドルグループのプロデューサーになった経緯を教えてください。
大川 ジャニーズJr.を辞めたあとは、俳優として舞台を中心に活動していました。コロナ禍で舞台や稽古が流れることが増えた時期に知人からメンズアイドルの振り付けを頼まれたのがアイドルの世界に戻ってきたきっかけです。その流れで、同じ事務所から誘われてガールズアイドルグループのプロデューサーになり、そのグループの活動休止後に独立してメンズアイドルグループ「ジャンクロップ」を立ち上げました。
――男性だらけのジャニーズ出身の大川さんから見て女性アイドルグループをプロデュースするのはどうでしたか?
大川 想像以上に難しかったですね(笑)。正直に言えば僕は女性と接するのが苦手なんですよ。僕は女きょうだいはいないし女友達もあまりいなくて、女性をマネージメントすることがうまくできませんでした。
「ガールズアイドルはメンバー間の嫉妬、序列の問題も根深くて…」
――どんな点で苦労されたのでしょう?
大川 僕が女性に対する接し方が下手なのかもしれませんが、一例を挙げるとするならば、自分が育ってきたジャニーズでは当たり前だった指摘をすると、たとえ内容が正論でも受け入れてもらえない感覚を覚えました。
また、メンバー間の嫉妬、序列の問題についても僕が想像するより根深くて、「私だけが独りぼっち」「私はこんなに頑張ってるのにどうしてあの子の方が歌割りが多いんですか」などの意見を複数のメンバーから受けたこともあり、これまで経験したことのないケアをしなければならない苦労がありました。
――女子スポーツでも聞いたことがあります。
大川 それと、これは女性アイドル“あるある”なんですけど、1現場ごとに1人はツラくて廊下にしゃがみこんじゃう子がいるんです。イベント中に泣きながら会場を出ていく子を見かけたことも一度や二度ではありません。その点メンズアイドルなら、ジャニーズJr.での経験もありますし、「やるぞ!」みたいな男子ノリが通じるので個人的にはやりやすかったですね。