7年間所属したジャニーズ事務所を20歳で退所し、現在はメンズ地下アイドルのプロデューサーを務める大川慶吾さん(31)。

 最もお金と時間と人数をかけて作られるジャニーズの世界から、観客がひとけたのことも珍しくない地下アイドルの世界へ。観客が使う金額やライブの苛烈なローカルルール、そして身体的な接触も……全く違うカルチャーに直面した驚きと、地下アイドルの実態について話を聞いた。

大川慶吾さん ©文藝春秋 撮影・鈴木七絵

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――メンズ地下アイドルのライブに来るお客さんはどういった層が多いんでしょう。

大川 圧倒的に女性で、20代くらいの若い子が多いです。一口にメンズアイドルと言っても、うちみたいなアイドル色が強いグループだけじゃなくて、ビジュアル系ロックバンドのような雰囲気のグループもあれば、K−POP風のグループもあります。ビジュアル系にはやっぱりバンギャ風のファンがつきますし、界隈によってお客さんの雰囲気も違いますね。

800人規模の会場でワンマンライブを開いた「ジャンクロップ」

「メンズアイドルで驚いたのは、独特のルールがとても多いんですよ」

――いろいろなジャンルのアイドルが同じイベントに出演するのは、フェスみたいですね。大川さんはガールズアイドルのプロデュースもされていましたが、違いを感じるところはありますか?

大川 ガールズアイドルの方が歴史が長いぶん、パフォーマンスの平均値が高く、運営もちゃんとしているところが多いと感じますね。あとメンズアイドルで驚いたのは、お客さんの中で決まっている独特のルールがとても多いんですよ。

 

――どういうことでしょう?

大川 たとえばガールズアイドルのイベントに来る男性客って、自分が応援してるグループ以外のパフォーマンスも見るし、曲に合わせてコールしたりする人が多いんです。

 でもメンズアイドルファンの女性の多くは、複数のグループが出演するライブでも自分のお目当てのグループ以外のライブは見ません。自分のグループの出番が終わったら帰るのが暗黙の了解になっています。他グループを見るのは「浮気」に近い感覚なんだと思います。