そんな彼女の第2の、そして人生の転機になったのが23歳で出演したフジテレビ系の深夜ドラマ『やっぱり猫が好き』だ。
もたいまさこ、室井滋、小林演じる個性あふれる3姉妹の会話劇だが、これが口コミ的に話題になり大ヒットシリーズに。3姉妹の末っ子を演じた小林はアドリブも交え、先輩2人との息もぴったりだった。
そしてこのドラマが、のちに結婚する三谷幸喜との出会いだった。ドラマから4年後、小林が30歳の時、3歳上の三谷と結婚する。
それまで小林の恋愛話やスキャンダル等が報道されたことはほとんどなく、突然の電撃入籍発表は当時大いに世間を驚かせた。結婚発表記者会見も2ショットで行われ、三谷が「あまり友達のやってくる家庭にはしたくない。人が寄りつかない家庭がいいですね」と語れば小林が「はい、同じです」と答えるなどのやりとりは、おしどり夫婦の印象を強めた。
なれそめは三谷のひと目惚れで、小林の初対面の三谷の印象は「暗い方かな?」だった。三谷がドラマの打ち上げで意を決して渡した電話番号のメモも小林はもらったことすら忘れており、小林が三谷の想いに気づくまでじつに4年もかかったという。ひょっとしたら恋愛やスキャンダル報道がなかったのは小林のこの天然っぷりが理由だったのかもしれない。
しかし、結婚生活は16年で終焉を迎えることに。2人がマスコミに送った連名のFAXの中で「これといったはっきりした理由があるわけではありません。(中略)小さな違いが積み重なり、それがだんだん大きくなってしまったようです」と説明した。
離婚後も2人で愛犬を散歩させている姿が目撃されたこともあるが、これは三谷の強い希望だったという。三谷は2年後に19歳下の元女優と再婚したが、小林は現在まで独身を貫いている。
共演した市川実日子とプライベートで仲良くなり、顔も隠さず2人で散歩
小林はその後も共演者やスタッフと仲良くなったというエピソードに事欠かない。
38歳でドラマ初主演した『すいか』(日本テレビ系)で共演した市川実日子とすぐに意気投合し、プライベートでもよく一緒に過ごしていた。当時、筆者は三谷と小林が住んでいた家の近くに住んでいたのだが、駅前で小林さんと市川さんが2人で歩いている姿をよくお見かけしたものだ。
特に顔を隠す様子もなく、通行人も「『すいか』のふたりだ」と気づくのだが、2人は気にせず談笑していた。市川とはのちに映画『めがね』(07年)でも共演している。
41歳では映画『かもめ食堂』(06年)に主演し、スローライフを描いた作風が当たり役となり、『めがね』に続いていく。以後しばらく、小林のイメージは“スローライフの似合うベテラン女優”となる。