いまから45年前のきょう、1979年11月30日、TBS系のテレビドラマ『3年B組金八先生』の第6回が放送された。東京の足立区立桜中学校・3年B組の担任の坂本金八(武田鉄矢)が生徒たちと向き合いながら奮闘する様子を描いたこのドラマは、前月26日にスタートし、この時点で1ヵ月が経っていた。同回は、「十五歳の母」というサブタイトルのもと前々週から3回にわたって続いた一連のエピソードの一応の完結編であった。
「女子中学生の妊娠」という衝撃のテーマ
このエピソードは、第4回で3年B組の生徒・浅井雪乃(杉田かおる)が授業中に倒れ、妊娠がわかったことに始まる。相手は同じクラスの宮沢保(鶴見辰吾)で、彼とはひそかに愛を誓い合ったとはいえ、妊娠はまったく予期していなかった。いずれもそれまで真面目な優等生だっただけに、その事実を知ってそれぞれの両親は困惑し、金八をはじめ教師たちも動揺しながらも二人にとって最善の道を模索する。
この時点で雪乃はすでに妊娠7ヵ月と中絶はできず、彼女の将来を心配する君塚校長(赤木春恵)や養護教諭の天路先生(倍賞美津子)は人工流産という手もあると説得を試みた。だが、雪乃は悩んだ末に出産を決意する。一方の保は、彼女との関係について学校中で噂を立てられ、それはやがて生徒の保護者にまで広まってしまった。桜中学にいづらくなった彼は、父親に勧められて一旦は転校するつもりでいたものの、雪乃が産むと決めたと知って思いとどまる。
こうして迎えた第6回では、金八たち4人の教師が、雪乃と保が子供を儲けることによっていじめられたりしないよう、愛とは何か、そして命の大切さを生徒たちに説くべく、保護者も呼んで公開授業を行うことになった。
その授業のなかで、金八は生徒たちに「おまえたちという存在はごくまれにしか産まれなかったんだぞ。いいか、ごくまれにだぞ」と切り出すと、男性が放出する2億1000万もの精子のうち、女性のたった一つの卵子までたどり着けるのは5匹、さらにそのなかからゴールテープを切ったものだけがこの世に産まれてくることができるのだと説明する。その上で先の言葉を繰り返し、「まれにしか産まれなかった命を粗末にするな。どうぞ大切にしてください」と諭すのだった。