SNSでプライベートを公開し、「いいね!」をつけ合うのが当たり前の時代。日本人の“恥の感覚”は、昔と比べて大きく変化しているのかもしれない。

 ここでは、エッセイストの酒井順子さんの著書『無恥の恥』より一部を抜粋。俳優の小林聡美さんと酒井さんが、自分や他者の“恥の感覚”について語る対談を紹介する。(全3回の3回目/#1から読む

小林聡美さんと酒井順子さん

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酒井 唐突ですが、今日は小林さんの“恥ずかしい話”を伺えればと思うのですが……。

小林 もう毎日恥ずかしいことだらけです(笑)。

酒井 性格的に、恥ずかしがり屋さん?

小林 もともと注目されるのはあまり得意じゃないです。3人きょうだいの真ん中で、子どもの頃は主張しないとスルーされがちだったので、それなりに自己アピールしていたと思うんですけど、いざ注目されると「あ、私はいい……」みたいな(笑)。

酒井 なるほど、中間子だからこその性格……。学校では、人前で何か発表したりすることは得意でしたか?

小林 得意ではなかったですけど、自分が指名されて順番が来たら、ここで私がゴタゴタいわずにだまってやればこの場が丸くおさまるなと思って……。

酒井 ほとんど義侠心ですね(笑)。では、そんな性格の小林さんがお芝居に興味を持ち始めたのはどんなきっかけだったのでしょう。

小林 13歳くらいのとき、昔、よく新聞のテレビ欄の下に「新人俳優募集!」みたいな広告がありましたでしょう。その中から安心そうな俳優さんがいる事務所を選んで(笑)、友達と応募したのがきっかけです。テレビドラマが好きだったから、ちょっと面白そうだと思ったんでしょうね。クラスの発表会でみんなでお芝居をして、バカなことをやってワイワイ盛り上がるのも結構楽しんでました。ただ、「私を見て……!」みたいな恍惚感はまったくなかったですね。ほとんどドリフ気分でした。