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「新しい彼女ができて問い詰められても、反論や反抗は一切せずにニッコリ笑って『もうええやん』で収めてしまうし、自分から付き合っている女性を捨てたりしない。善し悪しはともかく、そういう主義みたいなものが彼にはあったんです」(同前)

モテる理由は母性本能?

 山本氏は女性スキャンダルが報じられた火野に「前の彼女はどうしたの?」と尋ねたことがある。すると、

「え、今でも会うてるよ。別れる理由ないもん」

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 こう答えたというのだ。

 芸能ジャーナリストの二田一比古氏の証言も振るっている。

「彼が小鹿みきと付き合っていた頃、話を聞こうと指定された喫茶店に行ったら、先に到着していた2人が口喧嘩をしていたんです」

 少し離れた席に座り2人の様子をうかがっていると、火野が涙を流して小鹿にこう哀願していたという。

「みき、分かってくれよ〜」

 二田氏が続ける。

「そういう母性本能をくすぐるような姿を見て、これがモテる理由なのかと妙に納得してしまいました」

 前出の山本氏が再び知られざるエピソードを明かす。

「正平は、女性のいるクラブに行っても自分から口説くことはしなかった。これまで噂になった女性たちは、彼女たちから本気で惚れて付き合っていた方達なんじゃないでしょうか」

元愛人たちは誰ひとりとして恨み言の一つも言わない

 果たして元愛人たちはどう思っているのだろうか。

 それぞれに聞くと――。

「良き思い出として胸にしまっておきたいと思います」(小鹿みき)

「もう50年も前の話なので、何もお答えすることはないです」(紀比呂子)

「コメントは差し控えさせて頂きます」(仁支川峰子)

 誰ひとりとして恨み言の一つも言わないのである。

 芸能リポーターの石川敏男氏はこう言う。

「望月真理子さんは、火野の子供を出産する際、入院先の看護師さんに何度も『火野さんは本当に優しくていい人なんです』と伝え感謝していました」

14年間にわたり自転車旅をつづけた(NHK HPより)

 2011年から始まった自転車に乗って全国を走るNHK-BSの旅番組「にっぽん縦断 こころ旅」でも人柄の良さは滲んでいた。

「老若男女どころか動物からも愛される。あれが素の姿なのでしょう」(同前)

 そんな“昭和のモテ男”の自宅玄関脇には、火野が愛したロードバイク型の自転車が、今もそっと立てかけてあった。