立憲民主党の新人議員・柳沢剛氏(61=宮城3区)のパワハラ行為を告発した元仙台放送アナウンサーの稲垣龍太郎氏(36)。12月10日、その稲垣氏が仙台市内で記者会見を開いた。会見場となった仙台駅前の会議室には、宮城県政記者クラブ所属の記者など、報道陣20名とテレビカメラ6台が詰めかけた。
元の世界に戻れないことは覚悟しています
2011年、フジテレビ系列の仙台放送にアナウンサーとして入社した稲垣氏。1年ほどスポーツキャスターを務め、その後はアナウンサーと記者を兼務した。一方、かつて「めざましテレビ」でリポーターを務めたこともある柳沢氏は、稲垣氏の直属の上司であるアナウンス部長を務めていた。
14時から始まった会見、冒頭、稲垣氏はこう述べた。
「かつてアナウンサーとして“出役”であった私が、こうして顔を出して発言することで、元の世界に戻れないことは覚悟しています。転職もできないかもしれません。それでも、同じように柳沢氏からパワハラ行為を受けた3人と世の中に発信していきたいという考えを共有し、今日に至りました」
「柳沢つよしパワハラ被害者の会」
会見の中では、柳沢氏から浴びせられた「臭い」「キモい」といった言葉の“暴力”などについて明かした。
「その結果、入社2年目から市内のメンタルクリニックに通い始めました。柳沢氏から受けた行為について医師に話し、薬を処方してもらう生活が続きましたが、出番が減ると思い、会社にはなかなか相談できませんでした」
今回、稲垣氏は仙台放送の元社員4名で「柳沢つよしパワハラ被害者の会」を立ち上げるに至ったという。会見の中で記者から、活動の最終的な目的を問われると、
「(柳沢氏は選挙期間中に、自民党の裏金問題を追及して)『説明責任』、『禊』という言葉を繰り返し使っていました。今回の件についても、きちんと表に出て自分の言葉で説明して欲しいです。そして、誠意のこもった謝罪をしてもらいたいと思っています」
立憲民主党の宮城県連に公開質問状
同日付で稲垣氏は、立憲民主党および立憲民主党宮城県連宛に柳沢氏に関する「公開質問状」を送付。今年10月に行われた衆院選の最中にも、稲垣氏はXにて柳沢氏の過去のパワハラ行為について発信していたが、こうした内容について立憲民主党側が認識していたかなど、計6点にわたって回答を求めている。会見では質問状を送付した意図をこう語った。
「私たちは柳沢氏からパワハラを受けて、心に傷を負って、どうしても許せない感情があります。ですが、選挙の結果はもちろん選挙区民である宮城3区の方々が決めることです。そこで、まずは公開質問状という形で、立憲民主党に柳沢氏を候補者として擁立した経緯などを確認するところから始めたいと考え、こうした行動に至りました」
衆院選期間中、柳沢氏の対抗馬である自民党前職の西村明宏氏の選挙カー上でマイクを握ったこともあった稲垣氏。記者からその点について質問が飛ぶと、次のように説明した。
「Xでの投稿を始めてから、週刊誌から取材依頼の連絡が来て怖くなって投稿を消したこともありました。そんな中で柳沢氏が優勢と聞いて、いてもたってもいられなくなって、マイクを握りました。その経験があったからこそ、名前と顔を出して発信する勇気を持てたと思っています」
誤解だとか指導の延長という言葉に押し込めてはいけない
そして、最後にこう訴えるのだった。
「パワハラをした当人にとっては一瞬の出来事かもしれませんが、された側にとっては会社を辞めても、何年経っても忘れることはありません。柳沢氏から受けた行為は、誤解だとか指導の延長という言葉に押し込めてはいけないものでした。この小さな声を無視することなく、柳沢氏と立憲民主党には誠意ある対応を願っています」
会見に先立って稲垣氏は「週刊文春」の取材に応じている。現在公開中の「週刊文春 電子版」では、稲垣氏の他、元仙台放送の女性アナウンサー3名が証言した“壮絶パワハラ”の中身、柳沢氏の“仰天言い訳”などを詳報している。
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