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切り抜き動画で大量拡散

 そして、もう一つ重要な要素が切り抜き動画だ。第三者が動画の一部を自由に切り抜いて編集、投稿したもの。2024年夏の都知事選で急激に人気を集めた石丸伸二候補の躍進や兵庫県知事選での斎藤元彦の再選の一因に挙げられている。

「衆院選では、この切り抜き職人と呼ばれる人たちが玉木さんに集まった。そのために大量に玉木さんの動画が出回りました」(中村代表)

玉木雄一郎 Ⓒ時事通信社

 この切り抜き動画は、動画サイトのシステムによって拡散される。ある動画を見て「いいね」を押す、もしくは長く見続ける。すると、それをシステムが検知してその動画に関連した別の動画を表示する。「おすすめ」の仕組みだ。この仕組みがうまく働いた可能性があると前出の高畑代表は言う。

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「もともと玉木さん自身の動画ストックも多いうえ、切り抜き動画が大量に増えた。そうなると、玉木さん動画に『いいね』を押したら、その後はエコーチェンバー(反響室。繰り返し関連動画が表示され続けること)となって、抜け出せない。そうやって大量に玉木さんの動画を見ることになった人が多いと思います」

 問題もある。切り抜き動画は玉木のファンでもなく、単に自らの収益のためとみられるアカウントが多いことだ。高畑が言う。

「石丸さんの切り抜きをしていたアカウントの中には、ひと月で500万円以上稼いだ人がいます。切り抜き職人の多くはその時バズる人のところに集まるだけ。収益目的で選挙活動に乗っかってくる切り抜き職人をどう考えるべきか。今後議論もあるかもしれません」

森健氏 Ⓒ文藝春秋

 そんな動画の洪水の中、多くの現役世代が玉木の支持に傾いた可能性がある。選挙後、玉木はある動画インタビューの中で、選挙中の広告手法についても明かしている。

「万人に届くメッセージは難しい。だからターゲティングをしました。手取りを増やすとか、教育の無償化とかを分ける。また、選挙期間中でも民意は変わっていくので、反応がいいものをつねに前に押し出す。そういう機動的な対応が必要なんだと思います」(選挙ドットコム)

本記事の全文は「文藝春秋 電子版」に掲載されています(「玉木代表と国民民主を解剖する」)。

 

全文では、玉木氏の女性ファンの多さ、地元で支える「元首相の孫」の存在、他党との関係性、玉木氏の目指す方向性などについて語られています。