交流戦で「見返さないといけない」
プロ野球は今週から恒例の日本生命セ・パ交流戦に突入しているが、田代には楽しみにしているカードがある。まずは「(渡辺)直人さんに頑張ってる姿を見せなきゃいけない」という、6月1~3日の楽天戦(楽天生命パーク宮城)。そして−−。
「見返さないといけないんで。そこは強い気持ちを持っていかないとダメだと思います」
そう、6月12日に県営大宮球場、そして13、14日はメットライフドームで行われる、古巣・西武との3連戦だ。実は田代はこの3連戦を前に、既に西武と対戦している。もちろん一軍のゲームではない。5月26日のDeNAとのナイター(神宮)の前に、デーゲームで行われた西武との二軍戦(戸田球場)に「親子ゲーム」で出場したのだ。
この時は、ちょうどファームで調整中だった「おかわり君」こと中村剛也に「がんばれよ」と声をかけられた。「気にかけてくれてありがたいなと思いました」というが、その一方でファームの試合といえども「見返したいという気持ちが出た」ことに気付いた。
「西武戦はやっぱ『見返してやろう』っていう気持ちが強いんで、そこは抑えて気持ちが出すぎないようにしないと……。あまり意識したらおかしくなると思うんで、メンタル面はホントに普通に、いつもどおりにやっていかなきゃ空回りするだけなんで」
強い気持ちは持ちつつも、そこは冷静に……あくまでも、静かにキバを剥く。敵地に乗り込んでのその西武戦で、田代が古巣のファンに見せたいもの。それは走塁でも守備でもないのだという。
「去年はバッティングが全然ダメだったんで、もしチャンスがあればバッティングで『打てんじゃん!?』みたいに思わせたいです」
前述のとおり、ここまでは代走あるいは守備固めでの出番がほとんどで、32試合の出場ながら打席に立ったのは16回だけだが、その中で6本の安打を放っている。つまり、既に昨シーズンの4安打を上回り、プロ入りから6年間で積み上げた通算7安打に、早くも迫ろうとしているのだ。
「(去年は)56の4(56打数4安打)っスから(苦笑)。でも、今年もライオンズにいても、たぶんそのまんまだったと思います。バッティングに関しては、ヤクルトに来て気付けたことが大きいですね。今までは自分の中で『こういう形じゃないとダメ』っていうのがあったんですけど、石井(琢朗打撃)コーチに『そういうのは捨てて、自分のいい形で打てればそれでいいんだから』って言われたのが大きいッスね」
ここまでの打率.375という数字は、打数の少なさを差し引いて考えないといけないが、バッティングに関して手ごたえをつかんでいるのは間違いない。実際、5月半ばまでは代走と守備固めのみの出場だったのが、5月後半は代打でも5度使われるなど、起用の幅も広がっている。
もっとも今、田代に求められているのはまずは代走であり、守備固めとしての役割である。特に守備に関しては「去年、西武の時に一軍で使われた経験がすごい生きてます」というが、そう考えればどんな形であれ、グラウンドに立って自らの役割をまっとうすることが、古巣を見返すことになるはずだ。
6月12日からの対西武3連戦。燕の隠れイケメン・マーシーの、古巣への“恩返し”に注目したい。
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