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誰にでも起きうる問題として突き刺さる

 姉は昔から成績優秀で、両親と同じ医師の道を志したが医学部合格まで4回受験を重ねた。やがて在学中に症状が現れる。「病気ではなく病気のふりをしている」という両親の説明は、姉が自分たちの育て方に不満を抱いているという自覚があったからだ。にもかかわらずその後も医師国家試験を受けさせようとし続けた。そんな事情も背景にあるのではと感じたが、映画は「発症の理由」には踏み込まない。統合失調症がどういう病かにも立ち入らない。あくまで「どうすればよかったか?」。

 

 その痛切な問いが、誰にでも起きうる問題として僕らに突き刺さる。だから心を揺さぶられる。エンドクレジットが始まっても席を立ってはいけない。最後の最後にもうワンカット残っている。治療を受けられないまま25年を奪われた姉の人生が切ない。“ある”ことを“なかった”ことにする罪深さを痛感する。

『どうすればよかったか?』
監督・撮影・編集:藤野知明/制作・撮影・編集:淺野由美子/2024年/101分/日本/製作:動画工房ぞうしま/配給:東風/©2024動画工房ぞうしま/ポレポレ東中野、ヒューマントラストシネマ有楽町ほか全国順次公開中