売り上げは1兆円
さらにギャンブル依存症対策を難しくさせたのが、オンライン化である。コロナ禍には、突然ヒマになり、友人知人との繋がりが分断され、社会不安が蔓延するという依存症になりやすい要因が揃っていた。そしてこの苦しい状況下でも、スマホさえあれば没頭できたために、オンラインギャンブルが一気に広まってしまった。コロナ禍で公営競技だけは売り上げを飛躍的に伸ばし、特に競艇は過去最高収益となった。これに気を良くした公営競技とアプリの委託会社は様々なサービスを打ち出し、「登録すれば新規ポイントプレゼント」「友達紹介キャンペーン」などと、どんどんハードルを下げ若者をギャンブルに誘導していった。
そしてこのコロナ禍の巣ごもり需要で台頭してきたのが「オンラインカジノ」である。日本では違法であるにも関わらず、対策が放置されていたために地上波テレビでCMまで流されていた。また、アフィリエーターやYouTuberは、自分たちのサイトから登録したユーザーが使ったお金の数%がキックバックされるという仕組みで大金を得た。のちに逮捕されたYouTuberは、「報奨金は半年間で2億~3億円だった」と証言している。こうして大金につられたアフィリエーターやYouTuberが多数現われ「日本ではグレーゾーン」「合法でも違法でもない」というデマを蔓延させてしまった。
テレビCMでは一流スポーツ選手が登場、有名YouTuberはアンバサダーに就任、このような広告無法地帯にあり、違法とも思わず、気軽に手を出してしまう人が続出した。2023年度の日本の違法オンラインカジノの売り上げは約1兆円と言われている。
オンラインギャンブルは、当然のことながらスマホネイティブの若者の間で蔓延していく。当会の相談でもおよそ4割が20代の相談である。20代の若者は、銀行や消費者金融などで合法的に借金が出来る金額が低いため家族、友人、知人が借金問題に巻き込まれていく。また闇バイトや振り込め詐欺のような犯罪に手を出してしまう確率も非常に高い。さらには20代の若者がギャンブル問題で自殺にまで追い込まれている。