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しかし、髙部先生はすべて正直に答えてしまう。それがバレエ団にとってマイナスに思えるような情報でも、包み隠さず答えてしまう。それが髙部先生の良さでもあり、不器用なところだ。一方で、そんな姿を魅力的に感じたのも事実だった。
「大人になっても仕送りをもらっている人もいる」
「だから、バレエというのは親御さんの支援なしではやっていけないんです。子どもの頃の習い事としてのバレエだって、他の習い事に比べたら、お金がかかります。月1~2万円の月謝にプラスして、発表会の費用は安くても10万円以上かかるのが普通です。
プロを目指すのであれば、コンクールに出る時の衣装代や交通費も必要になります。でも、そうやって頑張ってプロになったからといって日本ではバレエだけでは食べていけないのが現状です。大人になっても親御さんから仕送りをもらっている人もいますし、実家暮らしをしている人も多い。
以前すごく有望な10代のダンサーさんが、プロになるかどうかを迷われていて、親御さんと話したんです。私からすればもちろんプロになってうちのバレエ団に入ってほしかった。でも『入ってください』なんて強くは言えない。だって生活の保障は出来ないし……」