ステージへの憧れを捨てきれずにメガバンクを退職し、現在は、デビュー6年目のアイドルとして活躍するNightOwlの折原伊桜さん。安定したイメージもある業界からの転職では、周囲からの辛らつな意見もあったという。
しかし、ファンを前にして歌声を届ける今は「誰かの理想を叶えるために生きているわけじゃない」と達観。ステージを目指すきっかけとなったZepp Namba(大阪)でのワンマンライブを目指して、堂々と「歌うために生きている」と胸を張る。(全2回の2回目/1回目から読む)
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銀行退職後、父と口をきかないほど険悪な関係に
かつて味わった、ステージで歌う感動をもう一度。その一心で、メガバンクの銀行員という超安定のキャリアを捨て、事務所のオーディションを受けた。
幼い頃から、両親が喜んでくれると信じた選択肢を「常に取ってきた」と言う。しかし、衝動に身を任せて退職届を提出。娘が自身のためにと選んだ道に当初、父は納得しなかった。
「退職届を提出して、上司による意思確認のための面談後に『銀行を辞める』と母に話したんです。当時、私が人生に悩み体調を崩していたのを知っていたので、母は受け入れてくれました。
でも、母づたいに聞いた父は怒ってしまって、実家暮らしでしたけど、そばを通っても口をきかないほど険悪でした。
再び、父と話せるようになったのはグループのライブです。母が連れてきてくれて、3、4年ぶりに話したんです。今では私を認めてくれたのか、熱心に応援してくれています」(折原伊桜さん、以下同)
「地下アイドルになるってバカじゃない?」と言われることも…
メガバンクの退職後には、アイドルとなった折原さんに周囲からも厳しい声が。大学時代、就職活動を共にした友人からの「せっかく努力したのに、もう辞めちゃうの?」「しかも、地下アイドルになるってバカじゃない?」という言葉の数々は、心に「グサグサ」と突き刺さった。
ただ、たしかに友人の意見もうなずける。安定した銀行員から不安定な印象もある芸能界への“転職”は、例えば、収入面での不安もつきまとうのは想像にたやすい。