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 それで当時のママ友で頼りになる賢そうな人に相談したら、「上沼さん、ほっときなさい」「そう?」「自分で気がつくまで放っておいたらいいの。ヒーターでお尻焼いてる場合じゃないわ」って。

 で、次の日からほっといたんです。昼の2時まで寝てました。どうしようと思ったけど、ほっときました。

 あまりに遅刻が続くんで担任の先生にも「起こしてあげてください」と言われたんですけど、「ほっとこうと思います」と。それでちょっとモメたりもしましたが、私も胸が引き裂かれるほど辛かったんですよね。「この子はこのままアホのまま生きていくんだ」と。

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 そうしたら、そのうち自分で起きてくるようになったんですよ。朝食までちゃんと食べていって。だから親にほったらかしにされたら自分でしっかりするようになるんです。

 自分でもどっかで、「これじゃあかんねんな」と気付くときが来る。ものすごく時間かかります。途中で「イーッ」てなりますよ。なりますけど、これは修行やと思って。

イラスト 堀 道広

子どもの成長と犬のしつけは…

 私、このお母さんの気持ち、本当によくわかるんです。でもね、子どもの成長と犬のしつけはほんまに我慢やで(笑)。犬はドッグトレーナーに預けたらいいけど、子どもはそうはいきませんからね。「根気」というものを神さまが人間の心に宿してくれたとすれば、そのほとんどは「子育て」で使います。だから、使ってあげてください。

 自分の子宮から出てきた子だから、つい「私ならこうするのに」「ああしてほしい、こうしてほしい」と考えちゃうんですけど、全く別の人格だということを認識せなあかんね。で、申し訳ないけど、我慢してもあかん場合もあります。でも人間ってずーっと同じ景色が続くとちょっと変えたくなるもんだと思います。いつまでもゲームに没頭してられないようになる。お母さんは家でゲームしているところしか見てないから、「アホちゃうか」と思うのは無理もないんですけど、息子さんも外では友達と喋ったり、意外な場所に行ったり、親には見せない顔を持っているものです。親が手を出せないところで、勝手に成長していく。

 大丈夫です。ウチの息子も小学校上がる前は自分の名前もよう書けなかったんですよ。でも今、ちゃんと書けるもんね。

 もう45やけど(笑)。

「週刊文春」では、「上沼恵美子の『人生“笑”談』白黒つけましょ」が好評連載中。「週刊文春 電子版」では、これまでの相談・回答をすべてお読みいただけます