1ページ目から読む
2/2ページ目

「パンとサーカス」を心ゆくまで楽しむ宰相

 後に政治資金の違法支出を疑われて糾弾されることになる首相主催の「桜を見る会」では、ももいろクローバーZをはじめ芸能人とポーズをとる姿が報じられた。嵐やTOKIOなどの芸能人と歓談する姿が、Twitterなどで拡散された。吉本興業の吉本新喜劇に出演するといった一幕もあった。何とも珍妙な印象を持った向きも多かったし、ローマ帝国の統治術である「パンとサーカス」とばかりに国民の目を欺いているといった野党側からの批判も強かった。

 だが、どの安倍もその場を楽しんでいるように見受けられた。安倍は、ローマの皇帝のように、「パンとサーカス」に我を忘れる市民を冷たく見下ろしたりはしない。「パンとサーカス」の中に飛び込み、心ゆくまで楽しむのである。そうであればこそ、第2次政権時代、安倍は『ウィンストン・チャーチル』から『永遠の0』など話題となった映画を、映画館で見続けた。

リオ五輪閉会式では安倍元首相がスーパーマリオ姿で登場  ©JMPA

 そうした姿勢の延長線上に、スーパーマリオの扮装もあった。「地方創生」や「一億総活躍」など内政面で次々と施策を打ち出し、海外では、アベノミクスで日本株を売り込むようなセールストークも躊躇しない。「地球儀を俯瞰する外交」を掲げた外交実績もさることながら、地道にエンタメに関する話題を振りまき続けたのが、宰相安倍晋三である。

ADVERTISEMENT