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スマホシフトで2度目の流行が到来

藤谷 私は2000年代半ばに書店で働いていて、そこでTLマンガ誌を手に取るようになりました。元々面白いマンガが好きだし、エッチなものも好きなので「無敵恋愛S*girl」(ぶんか社/2005年創刊、2024年休刊)などを読んでました。

 まだ知られていないマンガ家さんを発掘するのも楽しかった。たとえばリカチ先生(『星降る王国のニナ』『明治緋色綺譚』ほか)が当時TLマンガ誌で連載していて、「この人、絵柄も話も好みだな」と記憶に残ってて。そしたら数年後、一般誌でも活躍されるようになって「私の眼に狂いはなかった」と(笑)。

アオヤギ 古参ヅラだ(笑)。

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藤谷 かつ、同時期に拡大しつつあった携帯コミック市場もTLが関わってますよね。誰にもバレずに気軽にエッチなコンテツが買えるから。女性からの需要に気づいた出版社がオリジナルのTLを作り始め、作品数が増えてジャンルの存在感が増しました。

 この時期にはすでに主人公の年齢は20歳前後が主だったと思います。つまり読者が歳を重ねるのに合わせて、スライドしていったのでは。

アオヤギ TLが流行したタイミングは2つあって、ひとつが携帯コミックの時期、もうひとつはスマホシフトが進んだ2015~2018年あたりです。私がジャンルとして追いかけ始めたのは後者の時期でした。

 その頃、電子書籍販売サイトがTLの面白いバナー広告をいっぱい出していて、ツイッター(現X)でよく話題になっていたんですよ。それに惹かれて読み始めて。『僧侶と交わる色欲の夜に…』(真臣レオン/2014年~)、『オネエ失格~ケダモノに豹変した午前3時~』(冴月ゆと/2016年~)などですね。

『愛くるしくて(スーツの下が)はち切れそう!(1) 』(forcs)より。忍者頭巾をかぶった覆面ヒーロー「スーツァーマン」と、気弱平凡女子のラブコメディ。トンチキな世界観で、バナー広告が一時期SNSで話題に。

藤谷 2020年以降はマンガアプリや電子レーベルが定着したことで、さらにジャンル定義が難しくなったのでは。

 昔は「TLのレーベルから出ている作品がTL」といえたけど、今はTLではないレーベルの作品がアプリでは「TL」のタグで配信されているケースもあって、境界線が揺らいでいる。逆にTLレーベルの作品をそう認識せずに読んでいる人もいるだろうし。結果規模は拡大していると思います。

アオヤギ 市場規模はかなり大きいです。近年業績を伸ばしているマンガ配信サイト「コミックシーモア」で、売り上げを支えているのはTLだといわれていますから。