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急性ストレス性胃炎を発症、休職の末に雇止め

 追い込まれた岩田さんは同年12月、昼食で外出した際に新橋の路上で倒れた。急性ストレス性胃炎を発症した。

「休職せざるを得なくなり、結局は2022年10月31日付で雇い止めになりました」

 岩田さんはセクハラ発覚後の対応も含めてジャフコ社は従業員の安全配慮義務に違反しているとして、慰謝料を求めている。

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 雇い止めも客観的に合理的な理由はなく、社会通念上相当であるとも認められないとして無効を主張している。

会社側の回答は

 当事者はどう答えるのか。

 三好氏を直撃すると「会社の方に連絡してもらえますか?」と語るのみ。執行役員の松本氏に取材を申し込むと「弊社関係者に直接接触をされることはご遠慮ください」と会社広報から連絡があった。

ジャフコ本社が入居する虎ノ門ヒルズ

 ジャフコ社に質問状を送ると主に以下のような回答があった。

 A氏、B氏のセクハラ行為については「当該女性社員に対する配慮のための措置を適正に行い、2020 年 1 月下旬に両男性社員に対して就業規則に基づいた懲戒処分を行っています」。

 三好氏の言動については「当該女性社員のプライバシーに対して最大限配慮を行った上で、三好から当該女性社員に対して、両男性社員を月末会(月例で実施していた当社の全社向けのミーティング)で謝罪させたい旨、また、当該謝罪の際には当該女性社員の名前を明かさない旨を女性社員ご本人に伝え、了承を得ておりました」。

 松本氏の発言と雇い止めについては「契約更新についての当社の考えをご理解いただいた上で、契約更新および満了をいただいたものと認識しております。もちろん、これらに関する話し合いの席において、当社から被害者の人格を否定するような発言を行ったという認識はございません」とした。

女性たちが同じような被害に遭わないために

 最後に岩田さんは今回取材に応じた経緯を話す。

「投資家による女性起業家へのセクハラは欧米で社会問題になり、日本でも今年8月にNHKで特集されるなど#MeTooの動きがあります。日本経済再興の起爆剤となるベンチャー投資の最大手でなにが起こっているのかを伝えたい。女性たちが同じような被害に遭わないためにも声を上げたい」

 一人の女性の訴えが業界の闇に一石を投じようとしている。