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観客動員数は1試合平均82人から134人に増えた

 岡崎が監督に就任した今季、バサラマインツの観客動員数は1試合平均82人から134人に増えた。明らかに“岡崎効果”だ。

「大都市のフランクフルトが近いので、そこに住んでいる日本人の方がたくさん来てくれるようになりました。我々の規模からすると、数十人の観客がコンスタントに増えるというのは簡単なことではないんです」(山下会長)

 岡崎の高校時代の先輩である山下喬がクラブの会長を務めている

 日本代表歴代3位の得点記録を持ち、マインツ05所属時代にはブンデスリーガで日本人最多となるシーズン15得点、さらに“ミラクルレスター”の一員としてプレミアリーグ優勝も果たした岡崎慎司が、今は100人前後のお客さんのためにアマチュアリーグで奮闘しているのだ。

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「この間、面白いことがあったんですよ」そう言って岡崎は“営業エピソード”を話し出した。

 ある時岡崎は、古巣マインツ05の試合を観戦していた。そこで隣の席に座ったドイツ人男性と雑談を交わすと、クラブの元スターに驚いた。そして話を聞くと、勤め先が日本企業ミスミの欧州拠点だという。

「やっぱり選手って名前が通っているんだなと思いました。僕のことを知っていて、ドイツにいるの? 最近は何してる? とかいろいろ聞かれて。バサラの話をしたら『じゃあミスミヨーロッパの社長とのミーティングをセットさせてよ』って。そんな風に色んなところで、出会いを探していますね」

 この出会いがビジネスになるかは不明だが、バサラマインツの営業担当としてのリアリティが伝わってくる話だった。

ピッチを見つめる”監督岡崎慎司”の眼光は鋭い

  一方で、悔しい思いをすることも多々あるという。

 ドイツの冬の風物詩といえばクリスマスマーケットだが、バサラマインツも2025年からホームグラウンドになるヘヒツハイムエリアに出店し、岡崎も店頭に立った。ローカルコミュニティに溶け込むのが大きな目的だ。

 しかしこのマーケットで、岡崎は考えさせられることがあったという。