6部というアマチュアリーグとはいえ、岡崎慎司(38)が現役を引退してすぐに監督の座についたことはドイツでちょっとした話題になった。というのもドイツの体育大学には、監督のライセンスを目指して留学する日本人も多く、そのほとんどがアマチュアクラブでコーチ業をしながらチャンスをうかがっている。そんな人々を一気に追い抜いて監督に着いたことに羨望の眼差しが向けられたのだ。

24年6月の引退会見で「代表監督としてワールドカップ優勝を」とぶちあげた岡崎慎司 ©時事通信社

 岡崎には選手としての圧倒的な実績があり、何よりバサラマインツは岡崎が立ち上げたクラブであり、文句のつけようなどあるはずもない。

 それでも、いくらでも仕事を選べそうな岡崎が本当に6部クラブの監督業を「本業」にするのかを疑問視する人は一定数いた。しかし岡崎はどうやら本気でこの仕事と向き合っているようだ。

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「僕は1つのことしかできないというか、テレビの解説業やバラエティをやりながら監督っていうのはできないです。選手だった時は選手に集中したかったし、今は監督に集中していて。その代わり、バサラに関わることは全部やりたいんですよ」

岡ちゃんスマイルは変わらない

 監督としてキャリアアップするためにはライセンスが必要だが、岡崎は現在プレミアリーグのライセンス講習を受講中で、B級ライセンス取得まであと少しのところまできているという。そして6部バサラマインツでは現役の監督でもある。

「ハセさんと話すと、僕はやっぱり大きな組織に入るのではなくて…」

 岡崎と同時期に引退した長谷部誠はドイツ1部のアイントラハト・フランクフルトでU-21のコーチを務めている。ある種真逆のルートを選んだ2人だが、連絡を取り合って話をすることもあるという。

「ハセさんと話すと、フランクフルトは朝7時からミーティングとか戦術分析とかをしているみたいです。それを聞いて、僕はやっぱり大きな組織に入るのではなくて、自分でひとつひとつやって行くタイプなんだなってあらためて思いましたね」

 岡崎が監督に就任して以来、ここまで戦績は9勝4分6敗と悪くない。セカンドチームの力石尚監督は指導者としてのキャリアは岡崎よりも長いが、岡崎の判断に舌をまくことがあるという。