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――そういったスタンスになったのはいつ頃でしたか?

香取 若い頃からだと思います。ずっと変わっていないんじゃないかな。子ども時代から仕事してきたからこそ、そもそも意見を言うなんて発想すら無かった時代もあったし、「これでいいだろ?」「はい!」みたいな時代も経験してきたし。

 もちろん、意見をぶつけ合うのは悪いことじゃないし、人それぞれのやり方があっていい。でも、スタッフに自分の意見をやたらとぶつける先輩や、そのために一向に先に進まない現場、ごちゃごちゃするような現場もたくさん見てきたので。子どもながらにも、「ああ、大変そうだなあ」とさすがに思うじゃないですか。

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“個”という意味で、自分のなかでも絵と音楽は近い感覚

――香取さん自身、画家として絵を描く時間や、自分のイメージを突き詰めていく音楽活動のように、ある程度までは一人で完結させられる表現のほうが性に合っている、という感じもありますか?

香取 それはそうかもしれない。音楽活動ではフィーチャリングという形でいろんな人とコラボして曲を作っていますけど、誰とやりたいとか、どんな曲がいいとか、まず自分のなかでのイメージが大きくあるし。“個”という意味で、自分のなかでも絵と音楽は近い感覚ですね。

 やっぱり演技の現場って携わる人も多いじゃないですか。最近は海外でも日本でも監督やプロデュースにも参加される俳優さんがいっぱいいらっしゃる。そういう関わり方だったら、僕もまた違った首の突っ込み方をするのかもしれないけど。

――そうしたアプローチからの映像制作に、ご興味はありますか?

香取 若い頃は興味を持っていた時期もあったんですよ。でも、グループ時代、東京ドームや国立競技場といった大きな会場で、それこそ何万人ものお客さんの前で披露するようなライブの演出を考えていくうちに、そういう欲求が解消されたというか、全く無くなっちゃって。

 だって、優秀なクリエイター陣が作った映像を流していくうちに、最後はそのスクリーンをぶち破って5人が登場しちゃうとか、ちょっとやそっとの映画じゃ出来ないようなことをたくさんやれましたからね。その分、ライブのステージ演出については、いまだに好きでやれている感じがありますけどね。