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 女の子ならバレエは人気の習い事の一つに入ってくるかもしれないが、男の子なら野球やサッカーなどが一般的だろう。その上、他の習い事に比べてバレエはお金がかかるのだ。

 週に1回のレッスンで月謝が1万円を超えることも珍しくないため、選択肢から遠ざかるのも無理はない。

「始めた時の記憶はないんですけど、小学校2年生くらいから段々自らの意思でやる気が出てきたみたいです。家庭のお財布事情的にバレエを続けるのはなかなか厳しかったのですが、通っていたバレエ教室の先生がだいぶ協力してくれて……」

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「一度バレエをやめた」理由

 ただでさえ人口が少ない男性ダンサーだ。才能がある森脇さんにバレエを辞めてほしくなかったのだろう、バレエ教室の先生もお金はそっちのけで協力してくれたという。しかし、その後の道のりも順風満帆とは程遠いものだった。

「実は一度バレエは辞めたんです」

 髙部先生をはじめとしたバレエ団幹部がこぞって将来のプリンシパルに推すほどの才能の持ち主にいったい何があったのか。

 ローザンヌでファイナリストになった後、その特典の奨学金で中学卒業と同時にドイツの名門バレエ学校に進んだ。コンクールでの成績が優秀だったため、学費だけでなく、生活に必要な食費や住居費も給付される「フルスカラシップ」での留学だったそうだ。

 卒業を控え、海外のバレエ団で踊ろうと考えていた矢先、コロナ禍になり、日本に強制帰国となってしまった。海外のプロバレエ団は軒並み新規団員募集を停止、既に進路が決まっていたバレエ学校の先輩たちの入団内定も取り消しとなったという。

「このままバレエをやっていても、将来が見えないと思ってしまったんです」

 一時はバレエから完全に離れ、ごみ収集などのアルバイトを地元・広島でしていたという。

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