「結婚してから初めて本気でぶつかり合った気がします。『離婚』を口にしたし、『もうこの人とは無理だ』と本気で思いました」――10数年にわたる結婚生活で、一度だけ「離婚危機」に直面したことのある、安田大サーカス団長の妻こと、安田さちさん。仲良し夫婦だったお二人に何が? 当時の思い出、離婚危機を乗り越えられた理由を伺った。(全2回の2回目/最初から読む)

プロポーズも両親への挨拶も大成功、しかし…。10年数年にわたる夫婦生活で直面した安田大サーカス団長と安田さちさんの「離婚危機」とは? ©志水隆/文藝春秋

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厳格な父が涙したワケ

――団長との結婚に対して、安田さんのお父様の反応が厳しかったということですが、結婚の挨拶はどうなったのでしょうか。

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安田さち(以下、安田) 当日、団長と一緒に待ち合わせ場所に着くと、私の両親が先に到着していました。すると、団長が両親の元に全力疾走して、「お待たせしてすみません!」と大声で挨拶したんです。その姿を見て、父は感動のあまり泣いちゃって。見た目も怖いし、厳しい父なのですが、拍子抜けしました(笑)。

 父と団長は情に厚くて真っ直ぐなところが共通点なので、初対面でも通じるものがあったんだと思います。今振り返ると、父と似ているところがあったから団長を好きになったのかもしれません。

――芸人の嫁として、大変だったことはありますか?

安田 今もそうなのですが、団長のスケジュールが全く分からないんです。マネージャーさんに任せきりで、本人も把握していないので、「明日から1週間ロケで出張だ」と急に言われ、1人で育児をしなければならないのが大変でした。「もう少し早くスケジュールを教えてほしい」と何度も頼んだのですが、「先のスケジュールを聞かないのは、今日の仕事に全力投球するためだ」と全く譲ってくれませんでした。

 団長に子供を預けたり、予定を立てることができなかったので、子供達が小さいうちは私は仕事をすることができなかったです。「芸人さんの奥さんになったんだから、仕方ないのかな」と半ば諦めていました。

――そういった悩みを相談する相手はいましたか?