東海道新幹線が、男女共用トイレ(つまり個室トイレ)のおおよそ半分を女性専用トイレにするという。実際にはもう年末の12月から順次変更されているというから、年末年始の帰省や旅で使った人もいるかもしれない。
女性専用トイレに変更されたのは、奇数号車の共用トイレふたつのうちひとつ。11号車はいままで通りだから、都合7か所のトイレが女性専用になる、というわけだ。このニュースが報じられると、半分だけでは少なすぎるとか遅すぎるとか、まあいろいろと話題を振りまいた。
じつは最近?意外と知らない「列車のトイレ事情」
ただ、昨年末に『トイレと鉄道』という新書を上梓するにあたってあれこれと調べ回した筆者からしてみると、「トイレがあるだけありがたい」などとも思ってしまう。何しろ、まるで自宅かのような快適なトイレが新幹線をはじめとする列車の中に据え付けられるようになったのは、つい最近のことなのだ。
いまでは洋式で暖房便座はあたりまえ、ウォシュレットにベビーチェア、チェンジングボードなどが備えられているトイレも珍しくない。車いすでも使えるバリアフリートイレも新型車両には決まって取り入れられている。
しかし、ほんの少し前まで、列車の中のトイレというのは快適とは言い難いものだった。何しろ狭いし、場合によっては和式だし、お世辞にもキレイとは……。いまでも古い車両にはそうしたトイレが残っているし、ひと昔前に旅をした経験がある人ならば、みんな知っていることだ。
それどころか、もっと古いとトイレでは排泄物はそのまま車外にたれ流し。なんとも不衛生なことがまかり通っていた。このあたりまでは経験者も少なくなかろう。そして、もっともっと遡り、明治初期に鉄道が開業したばかりの頃は、列車の中にトイレはないのが当たり前。そんなところからはじまって、ようやく快適なトイレができあがったのである。
というわけで、今回は趣向を変えて、鉄道とトイレを巡る珍事件をいくつかご紹介しようと思う。汚い話題なので、お食事中の皆々様におかれては大変すみません……。