まさに女帝のごとく、岩本絹子元理事長(77)が東京女子医科大学を支配するようになってから、その界隈は「赤い巨塔」と呼ばれるようになった。岩本氏が建て替えた校舎群が、赤煉瓦の外壁で統一されているからだろう。

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解任後、引きこもる日々を送る岩本氏

 2024年8月、理事長を解任された岩本氏は「赤い巨塔」から追放され、約5億円かけて改装した豪華な理事長室への立入りも禁じられた。以降、岩本氏は自宅が併設されている都内の産婦人科医院に引きこもる日々を送る。だが、

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「岩本さんが散歩している姿は見たことがありません」と近隣住民は話す。

 時折、迎えの車で外出することもある。警視庁捜査二課の事情聴取を受けるためだとみられる。

 異様なのは、運転手らに通路をビニールシートで覆わせて、車に乗り込むことだ。自分の姿をメディアに撮影されたくないらしい。

岩本絹子氏

明るみに出た『疑惑のカネ』

 女子医大の創立者一族の岩本氏は、佐賀県唐津市の出身。19年に女子医大・理事長の座を得た。

 当時、赤字経営に陥っていた女子医大を、人件費の削減やコストカットで黒字化したが、その裏で架空契約などの手口で不正に多額の資金を流用していた。

「疑惑のカネ」が明るみに出たのは、女子医大の事務職員2人による内部告発が筆者にあったからだ。

 2022年4月、週刊文春は「東京女子医大の女帝 『疑惑のカネ』」をスクープ。架空の職員出向などで、億単位の不正なカネが動いていた疑惑を伝えた。

理事長室が入る彌生記念教育棟

 これに対して岩本氏らは、同大内部監査室の元刑事の職員たちに命じて、内部告発した2人を探し出し、懲戒解雇。しかし、女子医大の卒業生有志が立ち上がり、岩本氏を背任罪で警視庁に告発した。

 警視庁は告発を受理してから1年間かけて内偵捜査を行い、今年3月に岩本氏の自宅や女子医大などを一斉に家宅捜索した。

調査報告書に書かれた、厳しい評価

 事態を重く見た文部科学省は、第三者委員会による調査を女子医大に指導。

 3カ月に及ぶ調査の結果、第三者委員会は本誌や文春オンラインの報道は概ね事実と認定、厳しい評価を岩本氏に突きつけた。