まもなく米大統領に就任するトランプ氏は、”EV嫌い”として知られている。しかし、最近では「中国製のEV以外は賛成」と発言するなど、変化の兆しが見えるという。

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米国市場の“EV離れ”は決定的

 久保 2023年後半には、米国市場の“EV離れ”は決定的になりました。フォードがEV戦略の目玉に据えた「F-150ライトニング」という電動ピックアップトラックは、牽引すると80マイル(約130km)しか走らない。そもそも、米国内に充電施設が整っていないうえ、補助金を使っても割高だというので、消費者からそっぽを向かれてしまった。大型で頑丈な自動車を好むアメリカの中間層・労働者層がEVを選ぶ理由が見当たらないのです。脱ガソリンの急先鋒だったEUも、2035年以降のエンジン車販売禁止方針を一部見直し、合成燃料やバイオ燃料など炭素中立燃料に限り容認する方向です。

 2023年夏以降、自動車メーカーの明暗は、優れたハイブリッド製品の有無ではっきり分かれました。トヨタやホンダ、フォード、ステランティスはHEVやPHEV(プラグインハイブリッド車)が好調な一方、BEV一本槍にしていたGMやHEV製品が薄い日産はいま重大な危機を迎えています。ホンダを含む新たな経営パートナーを探す交渉の背景には、こうした激変する自動車産業の過酷な実態があります。

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イーロン・マスク氏 Ⓒ共同通信社

 柯 トランプがEV嫌いといっても、選挙戦の中盤にイーロン・マスク氏が陣営に加わった頃から急に「中国製のEV以外は賛成」と言い出しましたよね。

 フクシマ マスク氏はトランプ再選のために約1億8000万ドルもの巨額献金を行なった最大の功労者ですからね。

 柯 君子豹変す、ということがあるのかどうか。